俳句53:春愁や標準木も代を替え

春愁や標準木も代を替え


季語:春愁



 コンテストの一句部門に投稿した句で、個人的に少し手応えのあった句。「も」の使い方が、上手くいったんじゃないかな?

 ○○も□□もと、2つのものを取り合わせる場合、違ったものを取り合わせると詩的になると読んだことがある。「兄も弟も」ではなく、「兄も青空も」とした方が、確かに世界観が広がる。


 最初に「春愁や」と詠嘆することで、人の存在が発生する。そして標準木も続くことで、「人も標準木も」の意味合いが強調される。

 だから上五は「春愁はるうれう」ではなく「春愁しゅんしゅうや」と詠嘆する形にした。





  ソメイヨシノの寿命は六十年程。老いた桜は、次第に開花が早くなってしまう。それは標準木も同じで、代替わりの時がやってくる。

 桜の開花前から人々の注目を集めるのは、標準木であるからこそ。代替わりしてしまえば、もう注目を集めるのはことは少なくなってしまう。それは、人間も同じかもしれません。

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