第8話
「先ずは全力で役場を目指そう!」
弓道部顧問のたえ子の車から、京子に託された弓と
とはいえ、少ない数の念魔であれば、
「さすがに将也と京子だね。安心して見てられるよ」
「たえ子先生の弓を持ってる京子に全部任せて、俺は休ませてもらいたいくらいだ」
「あら、
「良かった。二人とも考えていることも一緒で連携もばっちりのようだね」
「…………」「…………」
そんな会話も
優たちは学校で戦闘を繰り広げてからの行動であったためか、既に多くの人が東側へと避難しているとおもわれ、辺りはいつもよりも人の気配が少なく感じられていた。
「良かった。役場は未だ大規模な襲撃を受けていないようだ」
役場に到着すると、優は智へ建物の屋上へ上がり周りの状況確認をお願いし、将也、京子、さやかに戦闘の準備を整えてもらう。同時に、他の生徒には戦えそうであれば、この場に残ることを許可した。ただ、基本的には中央街への避難を優先させている。
「優、ここを戦場とするなら避難している人は中央街へ行ってもらった方が良いわね。ここまで人々の不安や恐怖の念が強いと念魔に有利な環境になるわ」
「確かに京子の言うとおりだね。それに避難民を守りながら戦うだけの戦力は僕らにはない」
「分かった。職員の人たちと話してくるよ」
残っていた役場の職員たちに状況の確認をするが、緊急速報以上のことは把握されていなく、戦力としても
西山駅方面から念魔が来る前に、一刻も早く避難を完了させておかなければならず、即座に行動を開始してもらう。
「みんな。イヤホンの装着を忘れないように」
携帯の無線機能を活用し、戦闘中の爆音の中でも情報伝達ができるように、全員に無線用イヤホンを装着させ、待機するよう指示を出す。
「優、
智がその無線機能を使い、優や仲間たちにその旨を伝える。
「了解。周りの状況も教えてもらえる?」
「先ず獣魔3体との戦闘は確実だ。その後ろ、
「了解、ありがとう。将也、連戦続きで悪いが3体の相手を頼む。京子、さっちゃん、将也の援護をよろしく」
「任せておけ」「ええ、了解よ」「師匠、任せてください!」
すぐさま獣魔が役場への敷地へ侵入してくる。
「将也!!」
優の声と同時に、将也が一番突出している獣魔を目掛けて駆け出す。
心剣を抜くと宗義が言ったように刀身が現れ、それが一瞬に獣魔を黒い霧へと変える。そして、返す刀の空気を切り裂く音が獣魔を捉える。
しかし、この獣魔には強度があり、一撃で切り裂くことができなかったが、
「ぜやぁぁぁぁ」
将也は獣魔の喉元へと勢いよく突きを繰り出し、獣魔を切り裂き、そのまま前へと受け身る…………はずであったが、足を滑らせ転がる形となった。その態勢を崩した将也へ最後の獣魔が襲いかかる……
「京子! さっちゃん!」
優が叫ぶ。しかし、京子とさやかは弓を放てない。獣魔の延長線上に将也がいるため、彼に当たる可能性があるからだ。
「将也!」
優は、そう叫ぶと、いつものように足の裏で大地を噛みしめ、その反動で駆けだす。
優には武器がない、だとするならば……
「だぁぁぁぁ」
渾身の拳撃を放つ。獣魔を倒すことはできなくとも、もとより目的は動きを止めることである。だが今度は丸腰の優が標的となり彼に襲い掛かる。
その瞬間、獣魔に矢が突き刺さる。その矢は京子たちとは反対方向から放たれたものだった。
「最高のタイミングだぜ!」
振り返りながら将也が親指を立てる。
「滝山の結束力は、ここからだ!」
矢を握りしめた拳を前に突き出し、別行動から戻って来た
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