襲来
僕がウルティと共に地図を二人で眺め、これからの指針について考えていた頃。
「何しているの!こんなところで二人で!」
「まったく、そうである」
「……そうですねぇ」
フィーネを中心として、星霜の風の女性陣が押しかけてくる。
「ずっと帰ってこないと思ったらやっぱりここか!」
「……馬鹿な」
そんな三人に対して僕は目を丸く日開いて驚愕の声を漏らす。
「嘘だ……あの、三人が、この人気の多い砦の中を歩いてきた、というの!?」
「わ、私たちのことを何だと思っているのよ!?」
天変地異の前触れか。
そんな表情で驚く僕に対してフィーネが心外だとばかりに声を上げる。
だが、僕にとってはそうなってしまうほどの驚きだったのだ。あの三人の人見知り具合は凄まじいことがあったから。
「いや、……えぇ?」
ウルティも隣で困惑の声を漏らして三人の行動に驚愕し……いや、彼女の視線的に困惑している先は僕じゃね?
「まぁ!そんなことはどうでもいいんだよ!何、二人で密会しているんだよ!」
「いやいや別にいかがわしいことはないよ?ただ、必要なことをやっていただけだもの。ウルティとフィーネが危惧しているような関係。恋仲になることは絶対にないから安心してくれていいよ。別に君たちはこういう今後どう動くかの話に口出してこないから、わざわざ君たちを呼ぶこともないでしょ?」
僕はフォーネの糾弾に対して軽い口ぶりで答える。
己が恋仲になる可能性があるとしたら、ルーエたちの三人のいずれかになるだろう。自分が彼女たちではない誰かと共にいるのをあまり想像できない。
一人でいるか、彼女たちといるかのいずれかになるだろう。
「……それは、ちょっと悲しいのだけどぉ」
「そこぉ!何をもごもごしているの!」
フィーネは僕への言葉ではなく、口をもごもごさせたといウルティに素早く目をつけて怒りの声を上げている。
別に僕の耳にはウルティが何かを言っているなんて聞こえなかったけどね?」
だが、……そうだな。そんな今のフィーネの様子は人見知りのコミュ障とは見えない。しっかりとウルティとは関係性を築けているのだろう。
「……そっかぁ」
そんな彼女たちの様子を見ながら僕は呆然と声を漏らす。
「「「「……っ」」」」
「……と、なると。そろそろいいかもしれないなぁ」
そして、僕の口から出てくるのは一つの諦観。
「……何が?」
「僕はこのパーティーを辞めたいな、って思って」
「「「はっ……???」」」
何処かで、漏らした気もする。
自分の本音をフィーネの疑問に答える形で呆然と漏らすのだった。
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