討伐
「ルーエ、お水あげる」
「ありがとぉ」
「ネアン、魔法の杖の先端にある魔力装置拭くね!」
「ありがとう!」
「フィーネ!肩揉もうか?」
「あっ!お願い……!ふぇぇ、コーレンに触ってもらえるぅ」
数多の手札をもつ僕が熱心に行うこと。
それは三人のサポートである。
巨大な龍に対して、一応は地道に魔法、呪術、魔道具、飛び道具、状態異常などありとあらゆるものを使って攻撃をしてはいるが、正直そのどれもが焼け石に水。
大した効果などあげられない。
なので、僕がやって最も効果的なのは三人のモチベが上げられるようにサポートしてあげることだ。
「ふんふんふーん」
「きれいになった我が杖より出される魔法の秘儀をその目に焼き付けると良い!」
「ふへへへへへ」
これが愛のなせる業なのだろうか?
少しだけ僕が尽くしただけで彼女たちが見せるパフォーマンスは飛躍的に上昇していく。
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」
ルーエは龍が必死に振り回していたその体を次々と切断し、フィーネが張り巡らせていた結界の中でも辛うじて空へと浮かんでいた龍をとうとうその地面へとつける。
そして、ルーエは一度龍から離れてその手にある剣へと膨大な魔力を込め始める。
「変わってぇ」
「了解だよッ!」
一度引いたルーエに代わって巨大な魔法の鎧をまとったネアンが龍の方へと距離を詰めていく。
「ガァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
決して、龍は弱くない。
広大な大きさを持つ龍の体は少し体を地面にこすりつけるだけでいとも簡単に街を破壊し、天候を統べし龍は竜巻や雷雨などを用いて人類へと天罰を与える。
そんな伝説上の存在なのだ。
ただ、体による暴力もすべてルーエに封じ込まれ、己が支配するはずの天候はネアンからその支配権を奪えず、今は何も良いことがなく地面に龍は転がってしまっている。
「……やっぱり化け物なんだなぁ」
龍は既にフィーネの手によってこれ以上ないほどに弱体化させられている。
そんな中で、ネアンによって作られた巨大な質量へと押しつぶされて何も出来なくなっている龍を眺める僕は改めて自分と常にいるルーエたちの三人を再確認する。
そんなことを再確認している間にもルーエの準備は整った。
「食らいなさい───流星の風」
ネアンがその場から退くと共に振り下ろしたルーエの剣から放たれた力の濁流は完全に龍を飲み干し、そのまま施設だけでなくその後ろにある山まで消し飛ばしてみせるのだった。
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