第11話 カッパの里はいずこやら

 公園のベンチに腰かけ、ケンタッキーフライドチキンを貪る新吉のまわりに、鳩が集まってきて地面に落ちた食べカスを食べていた。


「こいつら自分の同類の肉を食ってらぁ。やっぱ鳩はバカだな」

「何を言うか」

「鳩がしゃべった!!」

「貴様ら人類が木を切り、地面をアスファルトで覆った為に我らは常に飢えに苦しむ羽目となり、やむなく同類の屍を喰わざるを得ない生き地獄に放り込まれたのだ。我らの苦しみはお前ら人類の所業ゆえ。にもかかわらず、貴様は己の罪の自覚もなしに、我らの同類の死肉をほおばりながら我らの境遇を嘲笑する始末。真にバカなのはどちらか、胸に手を当て考えるがよいポー」


 だがそれは鳩の声ではなかった。鳩ぶった中年男が、後ろの木陰からひょいと姿を見せたのだ。


「なんだ、光一さんかぁ。てっきり鳩かと・・・」

「ハッハッハッ、新吉さんは純朴だナァ」

と光一は新吉の耳をつまんだ。


 その中年男は、新吉の布団に取り憑いていた前述の中年男である。

そう、彼らはいろいろあった末に意気投合、カッパの里を目指して2人旅を続けているのだった。


光一「ああ、カッパの里にはあの体臭が充満しているかと思うとワクワクしてくらあ・・・おれぁ、そこ行く為に生まれてきたんだなぁ」


新吉「おれは与七に、かつての非礼を詫びてえんだ」






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