青い鳥は君に微笑む

霜花 桔梗

第1話 序章

 ラン、ララン、ラン、ララン♪


 冬の街に追憶のメロディーが流れる。一般的にはスキーソングだ。でも、それは思い出の歌である。


―――……。


 私の名前は『瀬戸 千真』しがない男子中学生だ。中三の春、私は隣に住む幼馴染の双子の姉妹の唯と冬美と同じクラスになった。唯は積極的に図書委員になるタイプで冬美は最後まで迷って体育委員になってしまうタイプだ。


 そう、二卵性の双子なのだ。


 小学校以来の同じクラスになった二人と話す様になり。私は将来の夢である素粒子物理学者になる事を語る。


「ねえ、一緒に進学校に通わないか?」


 二人とも成績は良く同じ進学校に通える偏差値であった。


「また、三人で同じ学校?」

「楽しくていいだろ」


 唯は少し照れている。この三角関係は唯の告白で終結した。冬美は私達を応援する立場でなった。積極的に図書委員になるタイプの唯が先に告白するのは自然な事であった。


 放課後、校内の自習室で唯と一緒に受験勉強をする。進学校は通過点にすぎない。T大に入って素粒子について研究するのだ。高校入試の合間に独学で素粒子について勉強をしていた。受験勉強を終えて自宅に帰る時に校門の前に冬美が立っている。


「あ、邪魔だった、でも、三人で帰った方が楽しいかと思って」


 私は冬美の提案に迷った、この三角関係は霜柱の様に儚いからだ。そう、冬美の想いが感じられたからだ。小学校の頃は何も考えずに三人で遊んだものだ。


「そうね、妹との関係も大事にしないとね」


 唯は姉らしく冬美の事を考えているらしい。結果三人で帰る事になったが、私は唯と手を繋いでいた。冬美は三人で歩いているだけで幸せそうである。この恋は心がチクチクする感じの恋であった。


 地元の進学校に入学して半年が過ぎていた。結局、三人で同じ高校に進学したのだ。夏休みの最終日の事である。私と唯は図書館で夏休みの課題をまとめ、自宅に帰ろうとした。


「私、スーパーに寄って行っていいかな?」


 自宅は隣同士である。何時も一緒に帰っていた。


「何故、スーパーに寄るのだ?」

「えへへへ、課題も終わったし、夏休み最終日に手作り料理を作りたくてね」

「わかった、先に帰っている」


 それは胸騒ぎであった。


 何気無く自転車で別方向に二人は向かう。次に唯と会ったのは霊安室であった。


 そう、唯は交通事故で死亡したのだ。

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