第326話 【復路騒動】到着そして一時帰宅
さいしょから【門】使えばよくね?
……とか言わない。おれとの約束だ。
――――――――――――――――――――
思ってもみなかった寄り道だったが……思ってもみなかった幸運(
隆起する瞬間を捉えた映像なんて、よほどの幸運がなければ捉えることは不可能だろう。そもそもあんな時間に突然隆起が始まるなんて、かなり珍しいことなのだと思う。
……本当すみませんヤサカさま。フツノさまが御迷惑お掛けしました。また今度個人的にお礼に来ます。
自由行動中は気ままに散策していたらしい
そんなこんなで、
それからは、至って順調に行程を走破していった。
何処か遠く背後の方角で、あからさまに『ほっ』とした雰囲気を感じたのは……たぶんだけど、気のせいじゃないと思う。
「そういえばフツノさまは……その、刀? に憑いてれば外へに出られるの?」
『
「ちょエ!?!?」
『『神域』の展開が叶うは、
「ま、待って! 内緒で持ち出したの!? リョウエイさんたちに秘密でのお出掛けなの!?」
『
『――――奔放にゃ……なのだな。
「ちょっとぼくもびっくりしてますよ」
「オレだって理解の範疇外っすよ」
「わっ、わたくしは大丈夫にございます!」
運転中ゆえ背後を振り向くわけにはいかないけれど……ラニちゃんが
この世界この時代にはあり得ない、空間魔法の使い手と意気投合したフツノさま。楽しそうで何よりですが、お散歩はほどほどにしていただけたらなぁって。……無理な気がするなぁ。
静かに景色を眺めている限りは、目付きの鋭い美少年であるフツノさま……そんな神様の横顔をチラチラと伺いながら(もちろん安全運転で)車を走らせることしばし。
やがて車は浪越環状高速道路へと流入し……急遽予定変更された目的地へと到着が近づいたことを、陽の傾きと共に告げられる。
ちょっと迷惑行為に片足を突っ込むかもしれないけれど……きょうはこの先の
明日の朝は自宅からこの車内へと【門】で転移し、三納オートサービスさんのところへ向かうわけだな。そのときはさすがにフツノさま(分体)やミルさんは同行しないので、ここでお別れする形となる。
「……はい、到着です。おつかれさまでした、皆さん」
「「「「お疲れさまでした」」」」
『
道中の寄り道のせいもあって、
フードコートなんかはまだもちろん開いているだろうが……そんなにのんびりしていては、それこそ帰宅は夜遅くになってしまう。各々ばんごはんはおうちで済ませることにして、いよいよ帰宅の儀を執り行う運びとなった。
まず妙にスッキリした笑顔のフツノさま(分体)を
二人とも今回の出張にはなんだかんだ満足してくれたようで、特にミルさんには満面の笑顔でお礼を言われてしまった。かわいいが。
フツノさまは……うん。リョウエイさんにたっぷり絞られて下さい。
そうしてこうして……残るはおれたちだ。
大活躍の
一瞬の暗転の後、おれたちの足元はタイル調のアプローチへと様相を変え……目の前には大きな大きなおうちと、メイド服姿の天狗半面美少女が、一礼と共に出迎えてくれる。
「ただいま、
「……御帰りなさいませ、御屋形様。……おや? ……これはこれは……珍しいお客様で」
『――――
「……これは……ご丁寧に。手前は姓を
……というわけで、自宅へ帰ってきて一段落ついたおれたち一行だが……これから色々と準備しなければならないので、ちょっとばかし忙しくなる。
おれは作業部屋でPCに向かい、
せっかく『御神渡り』なんていうレア現象が(フツノさまのお陰で)撮れたのだ、旬を逃すわけにはいかない。おれが手ずから編集を施し、今日明日中には公開したいものだ。
モリアキとラニは、毎度便利に使ってしまって申し訳ないが、買い出し係だ。
行き先はいつものシオンモール浪越南、主として晩御飯……
モタマさま
そしてそして、本日の主賓である
家事全般担当の
ラニたちの帰還を感知したら戻ってきてくれるとのことなので、安心である。
以上、ばたばたと慌ただしくも夜は更けていく。やることはいっぱい、それでいて明日は大切な打ち合わせ、そのあと週末にはビッグイベントが待っているのだ。
忙しいのは確かだけど……しかしそれでも確かに『楽しい』のだから止められない。止められるわけがない。
新メンバーを迎え、さらに賑やかに慌ただしくなっていく『のわめでぃあ』。
わたしたちの今後の活動を……どうぞ皆様、お見のがしなく!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます