第298話 【第四関門】コクーンコート
さてさて。
撮影許可をいただいたお店へとお邪魔し、とりあえず
今まで着たことのない現代衣料の数々を目の前に、そもそも好奇心が旺盛な
カメラの撮影範囲外で
おれの『演じる』スキルのほうは、いまさら語るまでもないだろう。ふふん。
というのもですね、最近タブレットの扱いもじわじわ上達してきている
というのも元々、彼女がお引っ越ししてくるときに持っていた下着類は……その、おれが昨年末に
ゴムの代わりに結び紐でつけ心地を調整する紐下着は、当然おれにとっては違和感の方が強かった(そもそも女の子用の
そんな中で、わがやの家事全般を進んで引き受けてくれた
あとは……タブレットPCの指南役であるえっちな妖精さんの助言のもと、通販サイトを駆使して見事お買い物をやってのけた。
ちなみにブラは……スポブラとか、チューブトップっていわれるやつみたいだ。おれはよくしらない。……おれは、しらない。
ああそういえば、支払いはおれのカードからだった。ラニから事前に相談は受けていたので、
……ということを、展示されているスッケスケの
この撮影が終わったら……服以外にも、雑貨屋とか寄ってあげたいな。
「おったおった。んには……やない、ちがう。『カントク』や」
「そうそう、よく覚えとったなぁー、えらいでク……やないな。『スタイリスト』ちゃん。どや、コーデ出来上がった?」
「んふふゥー。ちゃんと一式揃えたで。
「よっしゃでかした! のわっちゃーん
「はぁーい!」「は、はひっ!」
衣類を物色している様子を撮られながら、おれが
カゴいっぱいにアースカラーの衣類が詰め込まれ、どうやら準備は万端のようだ。
さて、くろさ……もとい、スタイリストさんよ。
果たしてこのおれを……満足させることができるかな?
「がわいい~~~~~~~~!!」
「んふゥーーーー」
満足しました。さいこう。かわいい。すき。くろお姉さますごい。すき。
試着ルームのカーテンがおずおずと開かれ、外で待っていたおれたち一同は……おれはもちろん、カメラを構えていた
それほどまでに完璧な……見事と評するしかない、
「きりえちゃん、こう……ぽーずを、お手々広げるみたいな。すしざ〇まいみたいな感じで」
「す、すし……? えぇっと……こ、こう、でございましょうか?」
「アアッ!! いいよぉ! かわいい!!」
クリーム色の暖かそうなモコモコセーターに、オトナっぽい落ち着いた
スカートの裾から覗くおみあしは、清楚な白のロングソックスで防寒対策もばっちり。これは
そして、その更に上。モコモコと暖かそうなタートルネックセーターの上に……このコーディネートの一番のポイントなのだろう、飾り紐がかわいらしいブラウンカラーのコクーンコートが加わる。
これによって、赤系統のカラーイメージで纏めながらも、
袖口にダボッとした余裕のあるコクーンコートは、ともすると
それらハイレベルなコーディネートが、微笑みながら恥じらう彼女の様子と合わさって……なかなかエグい破壊力を発揮していると思う。
そのまま腕を広げてもらったり、腰をひねってもらったり……九十度ずつぐるりと一周、くまなく披露してもらったり。
いやぁー……いいもの見せて貰いました。
ではではそういうわけで、そろそろお会計に移ろうかとおもうんですけど……あ、あの、
「…………あっ!!!!」
「ウッッソやろのわっちゃん!? マジで忘れとったん!? ボケやなくて!?」
「エッ!? えっと、あの、あの……そ、そのようなことはなくて……ですね……」
「わ……わかめ、さま……?」
「ハイ着ます! よろこんで
悔しいかな、敏腕スタイリストさんの手による冬服コーディネートは……
「んふゥーいい仕事したわぁ」
「いやー……ええなぁ。コッチはこっちで、のわっちゃんの髪色のおかげでかなりポップな感じがして……子どもらしくてめっちゃ
「とってもお似合いでございます若芽様!
「うわぁーーーーい」
緑髪で幼児体型のおれにとっても……大変すてきでいい感じに仕上げていただけたようです。
ははっ、ちくしょう…………めっちゃ可愛いなぁ、おれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます