第251話 【帰宅完了】高速帰宅エルフ
この日本国における国家機関であり、日夜国民の安全のため奔走してくれている警察署。そこの協力を得ることが出来、必要以上に隠れ忍ぶ必要が無くなったというのは……正直なところ、とても嬉しい出来事だった。
まあ確かに、最初おうちにおまわりさんが来たときは、はっきり言ってメチャクチャにビビった。
というか玄関開けたらおまわりさんが立ってたとか、たとえ自身にやましいところが一切無かったとしても『えっ……おれ、何か(犯罪)やっちゃいました……?』と、誰もが混乱してしまうこと間違いなしだろう。……たぶん。
実際今回のおれも、任意同行の間はメチャクチャビビっていた。事情聴取の間もビビっていたし、正直ずっとビビり続けていた。
小心者のおれが平静を欠かずにいられたのは、ひとえにこの
…………それと。
「わ、わかめさまぁーー!!」
「おフっ! ……ただいま、
「あらあら、おあついこと」
「うう……ごぶじでなによりでございます、わかめさまぁ」
実際に口に出して言うことは気恥ずかしいが……とても可愛らしい…………かっ、家族……が、おれの帰りを待っていてくれたからだろう。
彼女たちと同居するようになってから、おれの精神的キャパシティが大きく拡張されたような気がするのは……たぶんだけど、気のせいじゃない。
「心配かけたね、
「いえっ! これくらいは当然のことにございまする!」
おれがおまわりさんに連れて行かれる際、ラニ経由で『心配いらないから、申し訳ないけどちょっと待ってて』と連絡しておいたのだが……どうやら彼女は不安になると、気を紛らわせるためお仕事に集中したくなる性格のようだった。
まあ『連れて行かれる』といってもおまわりさんなので、この日本においてはそうそうひどい目に遭うことなど無いのだが……いまいち『おまわりさん』のことをよく理解しきっていない
うう……
もうちゃんと女の子の身体だもんな。おっぱいとかおれより大きいし、せくはらになっちゃうもんな。うう。
「…………うん、まぁいいや。それじゃ遅くなっちゃったけど、おうちに帰ろう。……いや、ここも一応『おうち』なんだけどさ」
「家具はもういいの? テレビしか仕舞ってないけど」
「んー……とりあえず困らなさそうだし。必要なの思い出したら、直接
「あー、まぁ確かにね」
「若芽様! お支度完了にございまする!」
「おっけ。じゃあ行こっか」
ホコリや汚れが取り除かれ、すっかりキレイになったリビングを後に、電気を消して鍵を閉めて……おれたちは手荷物をまとめ、南区の1LDKを後にした。
そこからは……まぁそれなりに早かった。なにせ行程のほとんどが高速道路、信号も渋滞もほぼ無いのだ。
警察署での大幅なタイムロスを挽回……しきることは無理なので、開き直って帰りの行程を楽しむことにする。助手席に
この調子だと、帰宅する頃には陽が暮れてしまいそうだ。帰ったらほぼ即寝くらいになってしまうだろう。あまり動画公開出来ない日が続くのはよろしくないが、今回は大丈夫なのだ。
というのも……動画編集を依頼しておいた鳥神さんから、作業完了のお知らせをいただいたのだ。……うん、実はまだ数日しか経ってないんだ。時間の流れってふしぎだね。
クラウドに保存されていた完成品の動画『和装お嬢さま初体験【
ゴールデンタイムを狙い、ラニにリモートで自宅PCを操作してもらえば、
おれたちが遊んでいる(※ちゃんと必要なことなのでセーフ)間に動画が完成するなんて……編集者って、すごい。
おれの機動力を飛躍的に高めることが出来るので、出来れば今後とも力添えをお願いしたいものだ。
そんなこんなで、サービスエリアでのんびり小休憩を挟みながらの帰り道。
警察署ではアピールのために展開していた【エルフ隠し】も解除して、超絶目立つ緑髪と白髪をさらけ出しながらの晩ごはんだ。ちょっと勇気を出してテラス席フードコートでいただくごはんは、一仕事終えた解放感で尚のことおいしく感じる。……相変わらずものすごい人目を集めている気がするが、おれは気にしない。
撮りたければ撮ると良い。存分にSNSに拡散しておれの宣伝をするが良い。ふはは。
そうこうしている間に良い時間になったので……十八時三分、のわめでぃあの新作動画『和装お嬢さま初体験【
遠出イベントも無事に終えることが出来たので……これからしばらくはおうちでのさぎょうに集中しようとおもう。
さーて、バリバリがんばるぞ。エイオー!
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