第149話 【識者会議】お願いがあります
へぃりぃ。おはようございます、視聴者のみなさん。
実在エルフ美少女
本日わたしたちはですね……ほんの少し前にハチャメチャにお世話になりました、
というのもですね、本日のご訪問ですが……主な目的は二つありまして。
報酬として賜ったお屋敷の権利に関してと、
「おう。良く来たな我が縁者…………んん? 何だその
「エッ!? なっ、ちょっ……いえ、その……どうして、ここに」
「……何を言って居る。
「いえいえいえそんなそんなそんなめめめめ滅相もございません!!」
「ぇえ、ウッソでしょ……
どこか疲れたような顔のリョウエイさんと一緒に現れたのは……簡素ながらも神々しい衣とどう見ても只者ではない雰囲気を纏った、勝ち気な表情を湛える少年。
この神域の主にして、日本でも屈指の知名度と信仰を誇る『剣神』フツノ、その
まさかお会いするとは思ってもみなかった、そのままの意味で
つい最近まで
「まァまァまァ、座るがいい客人共よ。些末事は気にするな。……我は只の
「さ、さすがにソレは無理だと思います……」
「……済まないね、
「えっと、あの……いえ。…………大丈夫……です」
「
正直言って割り切ることは難しいのだが……お言葉に甘えてあまり気にしないようにして、こちらの話を進めさせてもらおうと思う。
……あっ、マガラさんお茶ありがとうございます。
「……して?
「アッ……えっ、えっと、その……………率直に言って、とても魅力的だと感じました。……周辺環境的にも、間取り的にも……インフラ環境的にも」
「
「!!? えっ!? そんな……読心術!?」
「
「わあああーーーんラニぃーーーー!!」
「あぁ……よしよし、しかたないなぁわかめちゃんは……」
別の世界から来た美少女妖精に、未来の世界から来た猫型ロボットのような慰め方をされる。みじめだとは思わない。だってラニちゃんは可愛いから。
しかし一方で、長年に渡って
とはいえ……こちらの理解者となってくれているならば、心強いことこの上ない。おれの内心を当てられたのはシャクだというか泣きそうになるが、事情を察してくれているというのならば話が早い。
「いくら報酬とはいえ……あんなに高価なものを頂くのは、さすがに気が引けてしまうというか…………えっと、ぶっちゃけますと贈与税とか市民税とか固定資産税とか、そのあたりの処理が気になるっていうか……おれそのあたりの知識無いですし」
「うーん…………物件そのものの価値が
「ならば貸借で良いのではないか? 要は『譲渡』で無ければ気にならんので在ろ? 贈与に纏わる面倒事も霧消しよう。
「あぁ、確かに。
「ふゥむ……
おぉ……最初は『うわマジかよ何で居るのこの
しかもそれらは決して絵空事を言っているわけではなく、ちゃんとおれの意図を汲んでくれているというのがすごい。なんだかんだで味方になってくれるこの神様、やっぱり非常に好感が持てる。
お陰さまで……この分ならば、思っていたほど時間は掛からなさそうだ。
「うむ、概ね纏まったな。後で
「
「アッ、えっと……ハイ。ありがとうございます。……それでですね、もうひとつのご相談なんですけど」
ふたつめのご相談。それはこの
「…………つまりは……何だ?
「えっと……はい。フツノさまに許可を頂けるなら手伝っても良いと、
「…………成る程な。後は我の許可次第、と云う事か」
「……はい。……いかがでしょう、フツノさま」
「
からからと笑う神様の表情に、おれは勝利を確信した。
そうだ、そもそもこの神様はなんだかんだいって身内に甘い……立ち振舞いとは裏腹にとても優しい
彼の表情に引かれるように頬の緩んだおれの顔は……しかし。
「我は『許可』など出さぬ。認識を改めよ」
「…………………………えっ?」
一瞬のうちに真顔へと変貌したフツノさまの、底冷えするような声色によって……心臓を鷲掴みにされたような悪寒に見舞われることとなった。
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