第46話 【街頭収録】※スタッフは腕章と身分証を提示しています
「えー、でも本当私ら顔出しでも大丈夫だよ?」
「そうそう。ケイちゃんアキちゃんにも自慢してやりたいしー」
「お……お気持ちだけで大丈夫ですよ! わたしなんかまだまだ得体の知れない
「いい子だねぇ~~のわちゃんは~~」
「可愛いなぁ……ウチの子にならない?」
「わあー!? すす、すみません……お気持ちだけ頂きます!」
「「可愛い~~~~」」
伊養町商店街での街頭インタビューで声を掛けた(実際にはおれが声を掛けられたのだが……)お年頃の女の子二人組。
聞くところによると伊養町にはよく遊びに来るらしく、まずは行きつけのお店でランチを堪能しようとしている道中、何やら人だかりを発見。いったい何事かと見に行ってみると、ひときわ異彩を放つ女の子がカメラ片手にキョロキョロしていたので、好奇心が勝り声を掛けた……という経緯らしい。
不審・不安に感じなかったのか、という問いには『だって小さくて可愛かったから』との返答。……微塵も警戒されないくらい可愛いのか、おれ……
そんなにか……これでも元・男なんですが……もうかなり自信無くしたわ…………泣いてねえし。
……と、まぁ、とにかく。
二、三お話を聞いたところによると、なんでもこれからランチの予定だとか。おれとしてはまさにちょうど探していた相手だったので、『わたくし、こういう活動をしている者です』と自分の身元を明かして『この度はこういう企画を行っていまして』と事情を説明し、企画への協力と『絶対首から下しか映しませんし、お顔もお名前も出しません! 身元がわからないようにしますので!』と条件を提示した上での撮影許可を求めたところ…………二人とも二つ返事で受け入れてくれたのだった。即答だった。
それからおれたち三人は、良い意味で混沌とした伊養町商店街を目的地へ向かって歩いていった。
さっきの応対中や今このときも、道行く人々から度々カメラを向けられている。おれの内心としては他人のカメラで撮られることに未だに抵抗が大きいのだが……一方の身体は平然としたものだ。
「わかめちゃんはどこの出身なの? 日本人じゃないよね絶対!」
「そうそう! ずっと気になってたんだけど……その耳! どうなってるの!?」
「んふふ……珍しいでしょう? 何を隠そうエルフですよエルフ! 聞いたことありますか?」
「えースゴい! スゴい! 可愛い! ホンモノみたい……触って良い?」
「だ、だめ! だめです!! 耳は、その、えっと……敏感なので!!」
「それ髪の毛……まさか地毛? ウィッグじゃないよね?」
「地毛です! どうです、きれいでしょう?」
女の子達との世間話に花を咲かせながらも悠然と振るまい、『日本を訪れたエルフの少女』というキャラクターを堂々と演じる。
周りの人々にもその会話は無事に届いたらしく、おれに対する興味を煽って多くのカメラにその身(と背中に取り付けた『放送局』の宣伝と二次元コード)を晒すことに成功した。計画通り。
立地柄サブカルに対しても寛容であろう人々が、これだけ居るのだ。この中の何人かでも『放送局』に興味を持ってくれれば、御の字である。
「もうちょっとで着くよー。わかめちゃんは『ばびこ』初めて?」
「初めてです。……というか、わたしはこの世界に来て日が浅いので……」
「そうなんだぁー。でもきっと気に入ると思うな、内装もおしゃれだし……ランチもおトクだし」
「日替わりカレーランチがまた美味しいんだよね……」
「そうなんですね! 楽しみです!」
さて。おれがエルフの女の子
というわけで、そろそろ今回の企画をちゃんと説明しておくべきだろうと思う。……もっと早くに説明すべきだったかもしれないけど、そこは……えっと、まぁ……本当にすまないと思っている。
今回の企画は、第三者を巻き込んでのアンケート企画である。
お昼ごはんどきを狙い、これから昼食を摂ろうとしている人を探し出し、まず『何を食べようとしているのか』を聞き出し……そのメニューが予算内に収まりそうだったら『ごちそうするので、お昼ごはん同席させて貰えませんか?』と切り出す。
そうすることで実際に人々が好き好んで食べているメニューを明らかにし、そのお店やそのメニューの『好きなところ』を根掘り葉掘り聞き出し、ついでとばかりに新人
題して……『
……いや、でも大丈夫かなこれ。多分大丈夫だと思うけど……後日修正していたら察して下さい。
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