怖い乗り物
北山麗子さんは同じ会社に勤める一個上の先輩で、とびきりの美人。美人というだけでなく、性格もいい。当然多くの男性からいいよられるわけだけど、未だその想いを成し遂げた者はいない。デートの誘いは概ね受けてくれるらしいけど、それ以上の関係には発展しないそうだ。
僕も麗子さんに想いを寄せる一人。なんとかして付き合いたい。そう思った僕は、まず情報収集から始めた。麗子さんに告白して失敗した先輩社員に聞き込みをしたところ、皆が口を揃えて答えたのが、甘いものと絶叫マシンが好きというものだった。それで、皆デートで絶叫マシン巡りするわけだけど、男達は皆麗子さんより先に音を上げてしまう。そこで麗子さんは決まってこう言うそうだ。
「私を恐怖で震え上がらせる乗り物を教えてくれたら、付き合ってあ•げ•る」
その情報を元に僕は作戦を立てた。結論から言ってしまうと、僕は見事麗子さんを射止めることができた。
僕の手の内はこうだ。まずはデザートブッフェに連れていった。麗子さんはそこに並ぶ色とりどりのスイーツに目を輝かせた。
「瞬くんは女心をわかってるわね。でも、お付き合いするかどうかには無関係だからね」
「わかってます」
「あー、美味しかった。もうお腹いっぱい」麗子さんが満足そうに言う。
「瞬くん、このあとはやっぱり遊園地?」
「いえ、ここで大丈夫です」
「ここ?」
僕はトートバッグからヘルスメーターを取り出して床に置いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます