高所恐怖症の姫、高層階に幽閉される
ぬるま湯労働組合
0-1 飛行機ジャック
「今からこの機体は緊急着陸いたします。乗客の皆様は、乗務員の指示に――ぐあっ」
スピーカーから、悲鳴とともに喉から血を吐くような音がして、飛行機内は再び騒然となった。
機長からマイクを奪ったハイジャック犯の主犯格らしき男の声が、客室に流れる。
「たった今、機長と副操縦士を殺した。この飛行機はもう終わりだ。俺たちもお前らも、全員死ぬ」
いたるところから泣き叫ぶ声が上がる。ナイフを持ったハイジャック犯たちが、適当に目についた客や乗務員を刺して回っている。
機体ががたがたと揺れ始めた。操縦士を失った飛行機は、1万キロメートルの高さから墜落しようとしていた。
香菜は目をぎゅっとつぶり、耳を両手でふさいで震えていた。
こんなところで人生が終わるなんて。私がいったいなにしたっていうの。
飛行機が大きく傾いて、体の浮く感覚がする。
怖い。助けて。こんな高いところから落ちたくない……。
香菜の叫び声は、轟音の中にかき消されていった。
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