フラワー(仮)
OnnanokO
プロローグ
何かごちゃごちゃしたものがあった。毛糸の絡まりのような何かごちゃごちゃしたものがあった。そのごちゃごちゃを掻き分けていた。理由はない。掻き分けていた。
光もない行先もないそんな手探りな状態の中、誰かの涙を見た。その涙に向かって私はこのごちゃごちゃを掻き分けた。
絡まりを出た先には白黒の世界が待っていた。見渡すが周りには何もない何もない白黒の景色がただ漠然と広がっていた。振り返ると自分が入っていた思われる『棺桶』のようなものが立っていた。その棺桶には自分が入っていたというのように自分の形が残っていた。その形の周りには白黒の花達が飾られていた。
その花を一つ手に取ると色がついた。周りの花も同じように色づく。私はその色づいた花たちに誘われるように自分の形がある場所に身体を入れていく。意識と感覚が沈んで落ちていく。
白く色づいたその花は『ライラック』花言葉は“友情”である。
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