とある爆乳な部長のおっぱいを揉んでしまった俺の周りには、変態でエッチな女の子しかいないらしい

譲羽唯月

第1話 俺が、爆乳な先輩のおっぱいを揉んでしまったことが全ての始まりだった

「ねえ、あなた……今やってること、わかってるの?」




 鈴木翔すずき/しょうはただ純粋に恋人を作り、楽しい高校生ライフを送りたいだけだった。

 けれど、今の行動で、すべてが終わってしまったと思う。


 とある平日の放課後。

 翔は学校の図書館で、爆乳な先輩を押し倒していた。

 その上、豊満な果実を左手で触っていたのだ。


 これはわざとじゃない。


 脚立に乗って、本棚の上にある本を選んだり、新しい本を棚に入れたりと、そう入れ替えをしていた。


 ある程度の整頓が終わり、脚立から降りようとした時、翔は足を滑らせた。


 態勢を崩し、丁度、近くにいた先輩を仰向けに押し倒す結末を辿ることになっていたのだ。


 しかも、美人な先輩とキスしてもおかしくない状況。


 近くで見ると、本当に綺麗だと思う。


 黒髪ロングヘアが床に乱れてる。


 普段は無表情で、あまり感情を表に出す事のない人だが、今は頬を真っ赤に染めていた。


「あ、あなた……聞いてる? いつまで、こうしてる気?」

「あ、す、すいません」


 翔は先輩の声に反応し、意識をハッキリとさせ、体をビクつかせた。


「それと、いつまで触ってるの? 変態……」

「こ、これは本当にわざとじゃなくて」

「……別に、そうだと思ってるけど。離れてくれない?」

「は、はいッ」


 翔は咄嗟に、その爆乳から手を離す。

 がしかし、そのおっぱいの感触は手のひらに残っていた。


 翔はその場に立ち上がり、制服の埃を払う。


「本当にすいません、紫先輩」

「べ、別にいいけど。もう少し周りを見て作業しなさいよ」

「今後、気を付けます」

「……」


 紫詩乃むらさき/しの先輩は図書館の床に座ったまま、不満そうな顔を見せていた。


 翔は、咄嗟に手を差し出す。


「いいわ。一人で立てるから」


 そういって、先輩は立ち上がると、制服の上着とスカートを直していた。


「これは壊れてなさそうね」


 紫先輩は普段から首元につけているヘッドホンを確認していた。

 いつも一人でいる時に、それで音楽を聴いているのだ。


 非常に大切なモノらしく、傷がないか、まじまじと全体を満遍なく見渡していた。


「まあ、どこも問題はなさそうだけど、本当に気を付けてね」

「はい……」

「それと」

「なんでしょうか?」

「あんたさ、その……私の触ったじゃない」

「……そうですね……」

「なんか、言うことあるんじゃない?」


 向き合っている先輩から軽く睨まれていた。


 紫先輩は学園内でも、かなりの上質なおっぱいを持つ美少女である。

 そんな彼女のおっぱいを揉みしだいてしまったのだ。


 まだ、左手には先輩の温もりが残っていた。


「そ、そうですね……デカかった……じゃなくて……すいません、俺、なんでもしますので、こればかりは!」


 翔は頭を下げた。

 許しを請おうと、誠心誠意込めて謝罪の意をからだ全体で示す。




「なんでも?」


 紫先輩の声の抑揚が変わる。


 翔が、自分が言った言葉に気づくのは、もう遅かったのだ。


 勢い任せと言えども、口に出してしまった以上、取り返しのつかないことだってある。


「ねえ、なんでもするって、言ったよね?」


 先輩は近づいてきた。


「は、はい……」


 これから、先輩に何をされるんだ?


 不安な感情を抱いていると――


「じゃあ……だったら、私と付き合ってくれない?」

「へ?」


 一瞬、何を言われたのか、分からなかった。


「なに、その反応は。私の事、嫌い?」

「い、いいえ、そうじゃないですけど」

「じゃあ、責任を取る形で付き合って」

「紫先輩と」

「そうよ。私、触られたの初めてだし、あなた、なんでもするっていったわよね?」

「そ、そうですね」

「まあ、今は部活中だから、詳しい話は帰りの時にしましょうか、今は、皆がいる場所に戻るから」

「は、はい……わかりました」


 一瞬の出来事だった。


 爆乳な先輩と付き合うことが決まったのである。


 元から紫先輩の事を意識はしていた。


 先輩とは付き合えないだろうと、内心、思っていたのだが、これは何かの夢なのだろうか?


 紫先輩は翔の事をジト目で見つめていた。


 怒られながらも、その上、付き合うという流れになってしまったのだ。

 複雑な心境だった。






「あれ? さっき、何かあったんですか? 本棚の方から、大きな音が聞こえてきた気がするけど?」


 図書館内のテーブル席に座っているクラスメイト――湯浅充希ゆあさ/みつきが、手にしている本を閉じ、翔と詩乃の方へ視線を向けていた。


 ショートヘアが似合う充希は普段から本を読むことが好きなようで、暇がある時はいつも読んでいるのだ。

 しかし、普段から読んでいる本にはブックカバーをかけていて、何を読んでいるかは不明だった。


「まあ、なんでもないよ。気にしなくてもいいから」


 紫先輩は普段通りに、クールな口調で答えていた。


「そうですか? だったらいいんですけど」




「それと、本棚の整理は終わったの、翔」

「まあ、大体はね」

「じゃあ、今日の部活は終わり?」


 充希は手にしていた本をテーブルに置き、席に座ったまま先輩に確認を取っていた。


「いいえ、まだよ。ちょっと話したいことがあるの」

「話?」


 充希は首を傾げていた。


「ええ、それより、香奈さんも、こっちのテーブルに来てくれない?」

「あともう少し待ってくれませんか? すぐじゃないとダメですか?」

「そうよ。皆に報告しておかないといけないことがあるから」


 図書館のカウンター席に座って、本日の本の動きのデータを見ているのは、シュシュで髪を縛り、ポニーテイルにしている一年生の矢代香奈やしろ/かな


 この部員の中で一番年下なのだが、優秀さが際立っていた。


 彼女が入部してから、本の貸し出し数は、断然上がったらしい。


 去年も三倍も実績を残しているのだ。


 世間的にも毎年、本を読む人が少なくなっている傾向があるようで、なかなか、学校の敷地内にある図書館ですら足を運んでくる者は少なくなっていた。


 それを彼女は変えたのである。


 むしろ、この図書部を維持しているのは、香奈と言っても過言ではなかった。




「皆、席に座ったし……あまり言いたくないんだけど、言わないといけないと思って」


 四人全員がテーブルを囲うように座った後、部長である紫先輩から話を切り出されたのだ。


「私がね、この部活をやめる夏休み前に、この図書部が廃部になる予定らしいの」

「「「え⁉」」」


 紫先輩の発言に、部員一同が図書館内で大声を出してしまうのだった。


 それほどに衝撃的な内容だったからだ。


 図書部が廃部って、俺、これからどうすればいいんだ?

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