私にとって怖い話
風見 新
第1話
私にとって怖い話とは、、、
別に霊感があるわけでない。
何か奇怪なものを見たわけではない。
ごく普通の三十路手前の私にとって、それでもあえて怖い話をしろと言われたら、それは所謂恐怖体験談とは異なる質のものになるだろう。
私の怖い話は私の見る夢の話だ。
そうあくまで夢の話。
現実に起きたわけでも、ましてやよくある悪夢に覚めるとそこには、、、なんて類の話でもない。だから、話のオチや所以なんてものを期待しないで聞いてほしい。
夢の話。
夢の中で私はある部屋にいる。
6畳から8畳ほどだろうか、中は生活のあるものが置いてあった気がするがそこは夢特有の曖昧な感じで特に印象はない。
ただその中で最も印象にあるのは、部屋の中にいる2人の女の子だ。
小学生の真ん中くらいか。姉妹のような双子のようなその似た雰囲気の女の子は体操座りをして2人して部屋に座っていた。
見た目や印象なんかあまり聞かないでほしい。なんせ夢の話故、今言葉として表現するにはあまりに記憶が朧気なのだから、、、
でも、はっきりと分かることはあるのだ。
それは、夢の中での話としても妙にハッキリと感覚というより直感的に分かること、、、
彼女達二人は既に亡くなっているということ。
幽霊やお化けといえばいいのだろうが、それも表現として正確でない気もする。
というのも幽霊やお化けと言うにはあまりにも彼女達に恐怖を覚えなかったから。
何かおどろおどろしい風貌でもなく、邪悪な気配があるわけでもない。驚かすようなことをするわけでもない。
では何が私にとって怖かったのか。
夢の中。
何もせず、ただそこに座ってる彼女達に私というか、私の見ている光景は少しだけ彼女達にズームする。接近というほどではないがちょうど彼女の声が聞こえる位の距離。
そこで彼女達の一人がこう言った。
「ねえ、私達のどっちが生きれる?」
それを聞いた時、私は恐怖で目が覚めた。
私にとって怖い話 風見 新 @mishinn
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