招待状

奥村哉那

1話だけ

 とある学生が歩いている。きっと下校しているのだろう。彼は、いつも来る学校生活に退屈していた。

 そんなことを思っていた彼の反対側の歩道から、少年が道路に侵入してきた。少年は、飛び過ぎたボールを取りに行こうとして公園を出た。

 ボールは無事、回収できた。そんなことも全く知らないトラックが、彼の前方から迫って来ていた。少年は、奇しくも人生最大のピンチに陥ってしまった。

 そんな少年の状況を打破しようと、あの学生が捨て身の想いで道路に飛び出した。

 なんとか、学生は少年を道路傍に逃すことの成功した。しかし、学生は頭から大量に血が流れ出ていた。多分、彼は助からないだろう。

 まさに、不慮の事故である。



 あそこに小走りになっている女性がいる。スーツに身を包んだ姿はキャリアウーマンと呼ぶに相応しい。彼女はいつも急がなければいけない社会に疲れ果てていた。

 そんなこと思っていたとき、突如として彼女は、胸のひどい痛みに襲われた。きっと心臓麻痺を引き起こしたのだろう。手で自分の胸を押さえて、もがく暇もなく、その場に倒れ込んでしまった。

 彼女は、過度な仕事量が仇となったと考え、自らを憎んだ。

 周りはその光景に騒然としていたが、もう遅かった。



 こんなものでいいだろう。


 正義感の強い人を異世界へ送る。それが私の、天使ガブリエルの務めである。

 あとは、異世界に送り込むだけで完了である。きっとその世界で心の中のが救われるだろう。

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招待状 奥村哉那 @Hukurokaburi

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