nata esse idolum~TS逆行転生したのでアイドルを目指すことにした~

渡良瀬 七葵

#1 ぼく...私...?



 「―――――――――――い!」


 んー……?なにぃ…




 「起きなさい!」


 「うわぁ!!!………って、だれ……?」


 突然起こされたと思ったら知らない人の顔が目の前にあった。

 おかしいな、ぼくは昨日確かに家で寝たはずだけど。


 「え?まったくあなたは…自分の母親の顔も忘れちゃったの?」


 突如として目の前の人物から発せられた言葉にぼくは頭の中が?でいっぱいになった。


 「え…?母親…?」


 ぼくの記憶だと母親はもうちょっとふっくらしていて顔もこんなにきれいじゃなかったと思う。

 …それになんだか声も変だ、いつもより高い気がする。


 「まったく!まだ寝ぼけてるの?はやく顔を洗ってきなさい!ご飯できてるから!」


 そういって目の前の母親らしき人物はテーブルの元へと歩いて行った。


 ぼくはあたりを見渡した。


 そこは昨日までの部屋は違い、少し狭く、作りが古かった。

 そして僕の周りには布団が2枚あり、父親と母親の分かな、なんて思った。


 そこでぼくはとりあえず顔を洗ってからすべて整理しようと思い、洗面所へ向かった。

 部屋はせまく、洗面所の位置はすぐにわかった。

 そしてドアを開けて水を出し、顔を洗ってからタオルでふいて顔をあげると……



 そこにはすごいがいた


 

 「うわあ!しつれいしました!!!」


 と、ぼくはとっさに言ってしまったが今この場所にいるのはぼくひとり。

 そしてさっきはまで寝ぼけていて気付かなかったが胸が重い。

 母親らしき人物が部屋の外から「どうしたのー?」と聞いてきているがぼくは

 「なんでもないー」とだけいって平常心をたもった。


 そしてもう一度目の前を見ると……

 やはりそこには美少女がいた。少し髪が長くぼさぼさだが、顔はとても整っている。

 ぼくが右手を上げれば目の前の彼女も手を挙げる。

 これで目の前にあるのが鏡だと確定した。

 そして……


 「これがぼく…いや……私…!」


 思わずぽつりと言ってしまった。

 その声にはおさえきれない嬉しさがあったとおもう。


 なぜならぼくは前からTS願望があったからだ。

 TSしてアイドルになりたいと思ったことはなん百回もある。


 そして今、この身体ならば…


 「アイドル…なれちゃうかも…!」


 昔からキラキラしたアイドルになりたかったけどどうせぼくには無理だ、って思ってた。


 その夢を叶えられるときが来たのかもしれない。




 そうだ…ここからは「ぼく」じゃなくて「私」だ。


 もう私は生まれ変わったのだ。


 いつまでも昔の自分のままじゃ意味がない。


 



 とりあえず情報収集からしないと。

 まだ今の私のことについて何にも知らないからね。

 さっきの母親らしき人に聞いてみようかな。



 「ねえねえお母さん、今日って何日だっけ」


 

 「え?まったく…今日は2017年3月30日でしょ?来週からは2なんだから。しっかりしなさい?お母さんはもう仕事行ってくるわね」


 「あっ、いってらっしゃーい」


 さて…と、とりあえずわかったことは今日が2017年3月30日であることと私が来週から中学2年生ということ。


 ほかのことは家を漁ればわかるよね。







 そこから数分間家を漁って分かったことは、私の名前が逢坂海羽あいさかみうということと、私が通っている学校と、ここが神奈川県にあるアパートの一室ということ。



 それと私の家は少し貧乏らしい。


 家にある家具はどれも年季のあるものだった。



 そこで私が不安なのがこの家でアイドルをやりたいといっても、やらせてくれるのだろうか、ということ。


 まあそこは今日お父さんとお母さんが帰ってきたら相談しよう。



 ひとまず……髪を切りたい


 頭が重くて仕方がない…よく今まで生活できてたね、海羽ちゃん。







 そして時は進み夕方―――



 「ただいま~!」


 あっお母さんが帰ってきた。


 「おかえりー」


 「あら海羽、どうしたの急に髪を結んで。いつも結んでないじゃない」


 そう、私海羽、いまは髪を束ねてます。

 何をするにあたっても髪がぶんぶんして鬱陶しかったので結びました。


 「お母さん、髪切りたいんだけどいい?」


 「あら、いいわよ~。ようやく海羽もおしゃれに目覚めたのね!」


 「うん、おしゃれしたい」


 そう、私海羽(2回目)、おしゃれしたいです。

 どうせ美少女になったのならかわいい服だったりを着たい。


 それに今までこの長さの髪だったってことは学校だと目立たない子だったんだと思う。


 2年になったら知らない美少女がクラスにいる!?みたいな感じにしたいから垢を抜きまくる。


 まあでも正直髪をどうにかすればそれだけで美少女になるこの身体は素晴らしい。


 胸も…まあわりとでかめかも…

 でもアイドルになりたいから胸は正直いらないんだけどね……邪魔だし。


 


 

 まあそんなこんなでお父さんが帰ってくる時間になった。


 「ただいまー!」


 「おかえりなさいあなた~」


 「おかえりお父さん」


 「おぉ海羽!髪縛ってんのか!いいじゃねえか!」


 「あはは、まあね。邪魔だったから」


 「ははは、たしかにな、今まで気にしてなかったのがおかしいぐらいだ」


 「あなた、海羽がおしゃれに目覚めたのよ」


 「なんだと!?ついに我が娘が……」


 いや、なんでそんなに泣きそうなの……


 「お父さん大げさすぎ。私だってもう中学2年生なんだからね」


 「おお、そうだな。海羽ももう2年かあ」


 





 なんて話をしながらご飯を食べ、終わった後にはお風呂に入った。

 そしてみんなと川の字になって布団に入った。


 「それじゃあおやすみ二人とも」


 「ええ、おやすみ」


 「おやすみ、お父さんお母さん」


 

 そうして私達は眠りについた。




 次の日さっそくお母さんが美容院を予約していてくれて、行くことになった。


 

 「どんな風な髪型にしますか?」


 と、かわいいお姉さんが笑いながら話しかけてきた。


 「こんな感じでお願いします」


 そう言って私が見せたのはクズの本懐の花火ちゃんの髪型。


 「わかりました~ではこちらへどうぞ」





 そして約1時間後――――




 「わぁ~!かわいい!!」


 そういったのは美容師のお姉さん。


 「あら、ほんとに、生まれ変わったわね海羽!」


 そういったのは私のお母さん。


 「すごい…こんなにかわるんだ……」


 そういったのが私。

 


 そう、大絶賛された私だが、ほんとにそれはすごかった。


 まず鬱陶しかった前髪は目元にかかるかかからないかぐらいで、横と後ろは肩につかないぐらい。


 いわゆるボブヘアーになった私はお世辞抜きで自画自賛してしまうほどかわいかった。


 「やだ~すっごい良くなったわね。はやくお父さんにも見せてあげたいわね」


 「うん、今日はほんとにありがとうございました」


 そう美容師さんにお礼を言って美容院を出る。


 あ、頭が軽い…これはいい…楽だあ…


 



 家に帰ってしばらくし、お父さんが帰ってくる時間になった。


 「おーうただいまー!」


 「おかえりなさいあなた」


 「おかえりお父さんー」


 「おお!?海羽!頭すっきりしたな!似合ってるぞ!」


 「ありがとう、すごいよくしてもらったよ」


 お父さんも大絶賛だった。今日はいい日だ……

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