おまけ

「それじゃあ…… かんぱーい!」


「「「「かんぱーい!」」」」


 今日は久しぶりの女子会。

 

 こうしてまた笑顔で友達と集まれる日が来るなんて…… シュウに感謝しないと。


「美鳥ちゃん、久しぶりだね」


「そうですね、愛梨ちゃんも元気そうで良かったです」


 高校の同級生の美鳥ちゃん。

 高校卒業からしばらく会ってなかったけど、元気そうで良かった……


 高校卒業してすぐに父親が亡くなり、その後母親と東京に引っ越して生活していたけど、そこでスカウトされてグラビアアイドルになったらしい。

でも二十二歳の時に母親も亡くなり、精神的に弱ってしまい芸能活動を休止して……


 その直後に出会った『お団子』の魅力に取り憑かれて、色々あって結婚したとか言ってたかな?


 どうやら美鳥ちゃんを立ち直らせた『お団子』を作っていたのが『お団子屋さん』の店主をしている旦那さんで、今は子供も生まれて幸せみたい。


 さすがグラビアアイドルをしていただけあって、美人だしスレンダーでスタイルも良い。

 高校時代もモテモテだったよなぁ。

 でも、私はそんな疎遠になっていた友達をあの旅行に行くための言い訳に使って…… 申し訳ないな。

 丁度あの頃に…… 出産して子育てに追われてたんだよね、美鳥ちゃん。


「どうしたんですか?」


「う、ううん、何でもないよ!」


 本当にごめんなさい、美鳥ちゃん……

 心の中でお詫びをして、メロンソーダを一口飲んだ。


「……エリちゃん、元気になって良かった」


「そうだよ! 心配してたんだからね!」


 ヤエちゃん…… 小葉紅さん……


 あの頃は本当に心配をかけてしまった。

 時々会ってはいたけど私はシュウへの罪悪感でいっぱいで、元気ではなかったからね。


「本当にごめんね二人とも」


「……エリちゃんはやっぱり秋司くんと仲良くしてないと元気じゃないからね」


「東京に行ってた時もヤエちゃんと心配してたのよ? 『絶対おかしい』って」


 あはは…… あの人と付き合って…… いや…… 孤独と絶望の中優しくされて、どんな人なのかも見抜けず依存するように言いなりになっていた時の事かな?


 今思い返すとどう考えてもおかしい扱いをされていたのに…… 私ってバカだなぁ…… 


 身体を求められるだけの事が多かったのに、呼び出されてはすぐに会いに行って…… それでも良い所もあると自分は幸せだと思い込んで……


 こんな事、シュウには絶対に言えないよ……

 でも、きっとシュウは気付いてるんだよね…… それを含めて許してくれたんだと思う。


「……でも、それがあったから今があるんだよ、だから自分を責めないでね」


「そうそう、秋司くんが自分にとって最高の人だって気付けたんだから」


 二人には何も言ってないけど色々バレバレだろうな…… でも私達を気遣って優しく軌道修正してくれた…… 大切な友達。


「ぐふふっ、それでその秋司くんは今日どこに行ったんですか?」


「えっ? ……えっと、小吉くんと力くんの三人で飲みに行くって言ってたよ」


「ぐふっ! ショウ✕シュウ✕リキのトリオが飲みに…… 何も起こらないはずもなく…… ぐふふっ」


 樹里ちゃん…… 時々三人の事を聞いては変な笑い方をするんだよね…… よく分からないけど。


「……ジュリ、また始まった」


「やめてよね、人の旦那達をネタにするの」


「ぐふふっ、結構人気なんですよ、コミケで」


 こみけ? ……猫ちゃんかな?


「あと、エリっちのも…… ぐふふっ」


「……それってダークエルフもの? それとも黒ギャルもの?」


「どっちもですよ、次はどういうネタにしますかねー」


 私を見ても変な笑いをする時があるし、樹里ちゃんの話は本当によく分からないんだよね……


「あっ、そういえば皆さん、お土産にうちの店の『お団子』を持ってきたんで、持って帰って下さいね」


 美鳥ちゃんちの『お団子』かぁ…… 小さな店だけど結構有名店だったはず…… たしか『吉備団子店』だったかな? うふふっ、帰ったらシュウと食べよ。


「ありがとね美鳥ちゃん、今度お店にも行くから」


「はい、ぜひ来て下さい! 娘も紹介しますね」


 美鳥ちゃんの娘さんかぁ…… たしか四歳くらいだったよね。

 二十四歳の時の子…… はぁ、良いなぁー。


 私ももう二十八歳かぁ…… 


 小葉紅さんももう子供がいるし、ヤエちゃんも…… お腹が目立ってきた。


 私は無理だよね…… 自分が悪いんだけど。


「……エリちゃん?」


「えっ?」


「また暗い顔してるわよ! ほら」


「あぁん! ほっぺをムニムニしないでぇぇっ!」


「……やっぱり大きいです」


 美鳥ちゃん!? そこはムニムニしちゃダメっ!


「ぐふふっ、久々にエリっちのを確かめて情報アップデートです……」


 こらぁ、樹里ちゃんまでぇぇっ!


 

 久々に集まっても、色々ムニムニされるなんて…… うふふっ、高校時代に戻ったみたい。


 だけど樹里ちゃん? ちょっと触り過ぎだよ?



 ◇



「……なんてことがあったんだぁ」


「へぇー、相変わらずだな、みんな」


 女子会帰りにシュウと合流して、帰宅するつもりだったけど…… ちょっと休憩。


 いーっぱい可愛がってもらって幸せな気分でシュウに腕枕をされている。


 はぁ…… いーっぱい気持ち良くしてもらって…… うふふっ


「そうだ! 美鳥ちゃんにお団子もらったんだった」


「おっ、ちょっと小腹が空いたから食べたいな」


「うふふっ、じゃあ私も一本食べよっかなぁ……」


 みたらし…… あんこ…… ごま…… うーん、やっぱり……


「「みたらしに…… あっ」」


 うふふっ、やっぱり被っちゃった。

 二本ずつあるし良いんだけど。


 んー! ……このみたらし団子、すごく美味しい!


「……ふぅ、美味かった、さて…… どうする?」


「……うふふっ」


 お団子を食べて小腹が満たされた私達。

 

 そして、ちょっと休憩のつもりが結局お泊まりして帰る事になってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る