第15話 


 その日の午後俺たち小学生は5時間で授業が終わりだったので帰り支度をしていると、パオラさんが授業終わるまでまっててほしいと言われたので学校内の事を知りたかった俺は校内散策をしていた。


え?他のクラスメイトはどうしたかって?自分たちだけでどっか遊びに行っちゃったよね。


(校内の案内してほしかったんだけどなぁ…ま、探索するのも楽しいからいっか。)


校舎は昔は人がたくさんいた名残か3F建てで1Fは職員室や下駄箱に保健室など前世の校舎とさほど変わらない設備が整っていた。

そんな1Fを探索し終えた俺は2Fに上がり探索を始めた。

まあ探索といってもなんてことはない、教室のドアをちょっと開けて中を覗く程度のものだ。


(うーんどうみても日本の校舎って感じだ。

過去にいた転生者に教師か建築家でもいたのかな?)


「あーきみ、何をしてるんだい?

君たちの年齢は下校時間じゃないか?」


探索を続けている俺に声をかけてくる人物がいた。


「校長先生こんにちわ!

ちょっと待ち合わせの時間まで校内を探検してました。」


「む。

そういう事なら私が引率してあげようか?

待ち合わせは何時なんだい?」


「待ち合わせにはもう少し時間がありますけどいいんですか?

校長先生もお忙しいんじゃ…」


柔和な笑みを浮かべた恰幅のいいおじさんはこの学校の校長先生だ。

一応音楽の先生でもあるらしい?

今日はそのコマがなかったから詳しいことはわからないが。


「ああいいとも。

この階にはあと科学室と図書室と視聴覚室があるからまずそこから行こうか。

こっちだよ」


「はい!」


その後―


校長先生に案内されて校舎内を一通り回り終わったので校長先生にお礼を言って待ち合わせの場所である下駄箱に急ぐと俺の下駄箱の所でパオラさんが首を傾げていた。


「ライ君の靴はある…でもライ君はいない…あれぇ?」


「パオラさん!」


「あっライ君♪

ごめんね、まった?」


「校長先生に校舎案内してもらってたら遅くなっちゃいましたすみません。」


「ううん、あたしこそ待ち合わせより遅くなっちゃってごめんねぇ」


「いやいや僕の方こそ」


「いやいやあたしこそ…ぷっあははっ

じゃあ、おあいこってことで」

謙遜合戦に耐え切れなくなった俺たちはひとしきり笑い合った後手を繋いで帰路についた。


「ライ君、あのね

急に婚約したいみたいな話になってごめんね?

あたしホントは都会の大学に行って勉強したいことがあるんだー。

親からは卒業までに婚約者を見つけることが大学に行く条件って言われててねー。

本来はあたしみたいな長女は嫁に行くか婿をもらって家に入るっていうのが風習なんだけどどうしても先生の夢を諦められないんだ。」


「パオラさん…

俺、パオラさんの夢を応援するよ!

確かにまだ知り合って間もないけどパオラさんが真剣だっていうのは分かるから」


「ライ君…うん、ありがとっ」


瞳を潤ませてお礼を言う彼女をまともに見ることが出来ず頬をかきながら繋いだ手をぎゅっと握る。


その後は他愛もない話や彼女がどうして先生になりたいのかとかいろいろと話していたら彼女に自宅前についていた。



「あっ…もうついちゃった。

ライ君と話してたらあっという間だったよー♪」


「あ、ここですか?

俺の家ここからまっすぐだから近いですね!」


「ライ君。聞いてくれてありがとね♪

応援するって言ってくれた時のライ君ちょっとカッコよかったゾ☆」


そういって俺のほっぺにキスするパオラさん


「なっ!?え?!」


「んふふっ♪

じゃあねライ君、また明日ね~♪」


手を振りながら家に入っていく彼女の耳は真っ赤だった。


暫く頬を抑えながら立ち尽くしていたが暗くなってきたので走って家に帰った。


「おーじーさーん!おじさん聞いて聞いて!

今日ね今日ねクラスでねパオラさんって人とね!」


「お帰りライ君。

学校楽しかったみたいだね。パオラちゃんがどうかしたの?」


「うん!パオラさんと婚約した!」


「はぁ!?

どういうこと!?えっ!?」


テンション高く支離滅裂な説明をする俺におじさんは大層混乱させられたという。ごめんおじさん。

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