異世界の洗い屋

mekia

第1話 聖夜の社畜たち

「クリスマス爆発しないかなぁ~」


あるクリスマスの深夜、草木も眠る丑三つ時に社員が全員帰ったオフィスで一人仕事を押し付けられた男がいた。

名を新井という。

彼も本来ならば定時には帰ってチキンやケーキを食べ酒を飲みながらオンラインゲームして寝ようと思っていたのだ。

だが残念ながらこの男には彼女がおらず他の社員にはパートナーがおり、かつ彼は断れない性格であったのだ。

そうして生まれた負のスパイラルにより面倒な仕事だけを押し付けられたのである。


「んーっ!とぉ、一服でもするか」

しょぼしょぼとする目を抑えながら新井は立ち上がりコーヒーを買いに外階段に続くドアを開けた。


その時である

「うわっ!?」


突如として吹いた突風に押され新井の体は押し出された――

「あぐっおごあっげっあばっ」

階段を転げ落ち勢いのついた体がガシャンという音と共に老朽化していた踊り場の外枠を壊し体ごとそのまま宙に投げ出され


重力に引かれ行きつく先は大地という名の凶器である。


このとき彼が幸運だったのは即死だったため苦しまずにすんだことくらいだろうか。




―――――――――――――――

割とよくある白い空間で二人の女神は悩んでいた。


「あーもうどうしたらいいのよーっ!」

などと星の情報を見ながら頭を抱えている。

頭を抱えている方の女神の名をルセリアという。

赤髪ショートの快活そうなイメージに反してたわわに実った果実

白磁のような肌に白いキトンを身に纏っているのにどことなく親しみやすさを感じるので男の転生者や男神には大人気である。けしからん。


「人間が増えすぎちゃったから敵対勢力の魔族を入れたのにその魔族を捕縛解析して新しい種族を作るとかどうなってんの!?人間って怖ぁ…」

「………うーん、こうなったら星の再生プロジェクトとして星まるごと洗うしかないんじゃないかしら?」

ルセリアの嘆きに反応するかのように物騒なことを言い出したのは白に近い金色の髪を持つもう一人の女神、名をユニスという。

彼女はルセリアと違いキトンではなく何故か現代で見るような執事服のようなものを着ている。もちろんたわわである。けしからん。


「でも流すといっても遺跡は残るし他の神たちに非難されそうじゃん?それにそっから再構築されるとだしあいつら対応しそうじゃない?」

ぶーたれるルセリアを横目にしばし悩んだ後ユニスは閃いたかのように顔を上げ、


「そしたら転生者にやらせたらどうかしら?

我々が手を出すより時間はかかるでしょうけど従者をつけたら最終的には成し遂げるでしょうしそれに何よりちょうどさっき死んだしにたての魂があるのよ。

これの処理てんせいしないといけないから。」


ユニスのその提案にルセリアは名案とばかりに人好きのする笑みを浮かべ―

「それだ!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


初投稿です。

普段は読む専のコメ専なんですけど。

気が向いたときにのーんびり投稿します。

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