星と桜と

chatnoir_Iris

星は幸せを知り桜のように散る

私はどうしてもあの子の願いを叶えたかった。

たとえその願いを叶えて、私が消えてしまおうが構わない。



私のせいで戻らないままになってしまった。

全ての原因である私がこんなことを願っても良いのだろうか。



私はあの子を置いて来てしまった。決して1人にしないと約束したのに‥‥‥。

あの子は私を許してくれるだろうか‥‥。

いや、許してくれなくても構わないもう一度あの子と会えるのなら。



私は、生まれた時から星と一緒にいた。

私が困っていたり、寂しかったりした時は、星たちがいつも一緒に居てくれた。その逆も然りで星たちが寂しかったりした時は私がいつも一緒にいた。

私達はお互い協力して生きてきた。

けど、私たちがどれだけ力を合わせても解決できない問題があった。

それは、月が欠けたままだということだ。

正確には、欠けた月を戻す方法は私達は知らないわけでは無いがその方法は禁止されているし、その方法以外欠けた月を治す方法が見つかっていない。

そんなある日私は、夜空の下にある1つの小さな街を見ていた。

その街の人々は、いつか月が元に戻ることを昔から信じ続け、毎晩夜空に祈っていた。

月が戻らなくても綺麗なことには変わりないのだから別にこのままでもいいだろうと思っていた私にとっては街の人々が月が戻るようにと祈っていることが不思議でたまらなかった。

「ねぇ、なんで街の人々は月が戻るようにと、昔からずっと祈っているの?」

私が星たちに聞くと星たちは、沈黙の後に答えた。

「満月の日は与えられてることに感謝する日なの。それを知った人々は、満月になると月に向かって感謝を伝えてたと言われているの。でも、ある日月が突然かけてから人々は与えられていることがさも当然かのようになってしまったの。」

そこまで言って、星たちは何かを思い出し悲しい表情をしたまま黙ってしまった。

何となく星たちの性格を考えると、何故黙ってしまったのか分かった気がした。

「何となく何を言おうとしたかは分かったから、それ以上は無理して説明しなくて大丈夫だよ。」

私は、星たちにそう言うとまた街を見た。

(感謝することを重んじる人とそうでない人との対立が激しくなってしまったんだろうな…。星たちは平和を好いているからこれ以上無理に言わせるのはやめた方がいいだろう。)

その街の人々は、何事にも必ず感謝を忘れず「ありがとう」っと言う言葉が溢れる街だった。

しばらく街を見ていると、街から少し外れたところに小さな少女とも少年とも言えない子が立っていた。

その子は、夜空を見上げながらとても小さな声で呟いた。

「いつか、綺麗な満月が見れるといいな…。」

その子は、今にも泣き出してしまいそうな顔をしていた。

私は何故かその表情を見て、その子のことがとても気になってしまった。

次の日私は、星たちに黙ってその街を見に行くことにした。

この時の私は、少しあの子の様子を見たら夜空に帰る気でいた。

「へぇ…森の草木もしっかり手入れされてて空気も美味しいなぁ…。」

しばらく森の中を歩いていると、昨日見た子が木の影で休憩していた。

その子の周りには動物が沢山いた。

「すごい…。」

その光景に思わず声が漏れてしまった。

漏れた声が聞こえたのか、その子が目を開けた。

目を開けたその子は昨日は、よく見えなかったがよく見るととても綺麗な容姿だった。

その綺麗さについ見入ってしまった。

「あなたはどこから来たの?良かったら、少しお話していかない?」

その子は私の方を見ながらそう言って微笑んだ。

私は気付いたらその子の隣に座っていた。「ねぇ、あなたの名前は?」

桜星さくら

桜星さくら。いい名前だね。私は星那せな。」

星那せなは、兎を膝に乗せて撫でながら遠くを見ていた。

しばらくすると、星那せなは口を開いた。

「私ね、男でも女でも無いの。」

星那せなの言ってる意味が理解出来なくて、首を傾げてしまった。

「えっと…そ、そうなの?」

急なことで頭の整理が追い付かず、それしか返せなかった。

「うん。何故かは分からないけど私には性別というものが無いし、月が欠けたままなのもきっと私のせい。」

星那せなは、今にも泣きそうな顔をしながら話してくれた。

「詳しくは、私からは聞かないけど月が欠けたままなのは絶対、星那せなのせいでは無いと私は思うよ。」

私は、なんて言っていいのか分からずそういうしか無かった。

「ありがとう…。」

星那せなは、少し嬉しそうな顔をした。

それからしばらく、星那せなと話して分かったことがいくつかある。

1つ目は、星那せなが生まれた日の夜に満月だった月が、少しづつ欠けていってそれ以降月が元に戻らなくなったこと。

2つ目は、そのせいで月が戻らないのは星那せなのせいだと街で言われていること。

3つ目は、月が欠けたままなのが、星那せなのせいだと言われていてもこの街の人々は星那せなを邪険に扱うことはしないということ。

「ねぇ、星那せな。しばらく、星那せなの所にお世話になってもいいかな。」

私がそう言うと星那せなは、少し驚いたような顔をした後に答えた。

「私は一人暮らしだし大丈夫だけど、桜星さくらはいいの?ご両親に連絡とかしなくて。」

星たちには黙って来てしまったし、少し様子を見るだけの予定だったけど星那せなの話を聞いていたら、もっと星那せなと話したいと思った。それに、何故だかは分からないが星那せなのことをもっと笑顔にさせたいと思ったのだ。

「私のことなら大丈夫だよ。私も一人暮らしだから。」

私がそう言うと、星那せなは嬉しそうな顔をしながら私の手を掴んだ。

「ホントに!じゃあ、今から私の家に行きましょ!」

星那せなは膝の上の兎を草の上に優しく置いて、私の手を引っ張った。

それにしても、星那せなはいつから一人暮らしをしているのだろうか。見た感じ星那せなの年齢は18辺りだと思うのだが。

休んでいた森から10分くらい歩いたところに星那せなの家があった。

「今、お茶と軽いお菓子を用意するからイスに座って待ってて。」

そう言うと、星那せなはキッチンへ向かっていった。

人の暮らしは、星たちから教えてもらったからある程度は知っている。そうこうして居るとキッチンからお茶とクッキーが乗ったお皿を2人分持ってきた。

「そういえば、桜星さくらはなんであの森にいたの?」

クッキーを食べながら、星那せなが聞いてきた。

「んー、気分転換に外歩いてたら森に迷い込んじゃったんだけど、しばらく歩いてたら星那せながいたって感じかな。」

空から来たなんて言えるわけもないし、言えたとして信じてもらえるわけもないから適当に嘘の理由を答えた。

星那せなはそうなんだと言うような顔をしながらお茶とクッキーをたしなんでいた。

その日は、夜遅くまで星那せなと色んなことを話して過ごした。

それから、3日くらい星那せなと一緒に過ごした。

3日間という短い間で、星那せなは色んなことを教えてくれたし、沢山の笑顔を見せてくれた。

「ねぇ、桜星さくら。明日はクリスマスイブだし、2人でクリスマスパーティーしない?‥‥‥‥桜星さくら?」

「へ?あぁ、大丈夫だよ。えっと、クリスマスパーティーだっけ?それってイブにしても大丈夫なの?」

「家庭によってはイブの日にパーティーするところもあるみたいだし大丈夫!あ、でも桜星さくらはクリスマス当日にパーティーしたい?」

星那せなは首を傾げて私の方を見た。

「私、クリスマスパーティーとかしたことないからよく分からないけどなんとなく当日にしたいかも。」

私がそう言うと、星那せなは「分かった!」と言ってどこかに出掛ける準備をしていた。

「出掛けるの?なら、私も行く。」

私がそう言うと、星那せなは準備してる手を止めた。

桜星さくらは、今夜の夜ご飯当番だし、昨日よく眠れなかったみたいだから家でゆっくりしてて。」

そう言って、星那せなは出掛けて行った。

星那せなは優しいな。」

星那せなと出会った日を含めて、もう4日たったけど、まさかこんな早く体に異常が出るとは思わなかった。

「クリスマスか‥‥。それまでもつかな。」

私は、星那せなが出ていった玄関を見ながら意識を手放した。


ねぇ、このままだとあなたは消えてしまうのよ?それなのに帰って来ないって言うの?

それに、あの子に会うのなんていつでも出来るじゃない。


確かにあの子に会うのなんていつでも出来るけど、私がここに留まる理由は他にあるのだからごめんなさい。


それがあなたの答えなら、私たちは何も言わないただ、絶対に禁忌を犯してはダメよ。


分かってるよ。それじゃあね。


そこまでで話しは終わった。

目が覚めると外は、暗くなっていた。

夕食を作ろうと思い、動かすと隣に星那せなが私の肩に頭を預けて寝ていた。

よく見ると、星那せなは泣いていたのか頬が少し濡れていた。

星那せな?」

私が、星那せなの名前を呼ぶと星那せなは目を覚ました。

「あれ?私いつの間に寝てたんだろ‥‥。」

目を擦りながら、星那せなは体お起こした。

「泣いてたみたいだけど、なんかあった?」

私がそう聞くと、星那せなは言うか少し迷った後に話してくれた。

「いつかは、桜星さくらは家に帰っちゃうんだなって思ったら少し寂しくなっちゃったの。それでね、桜星さくらと少しでも沢山のいい思い出作りたいなって思いながら帰ってきたら、桜星さくらが消えかけてるように見えたの。でも、見間違えかなと思ったんだけどなんだか、怖くなってしまったの。」

今の話を聞いて、星那せなは帰宅してる時に、ふと私がいつかは帰ることを考えてしまい寂しくなってしまったという事と、私自身がもう長くは無いと言うことが分かった。

「大丈夫だよ。星那せな。私はいつも一緒にいるから。」

「うん!」

私は、星那せなの頭を軽く撫でて夜ご飯を作りにキッチンへ向かった。

夜ご飯を作りながら、私は星那せなにクリスマスプレゼントは何がいいかと聞くと、星那せなは「私なんかがクリスマスプレゼントを貰うのは勿体ないし何もいらないよ」と答えられた。

星那せなは、なんでも正直に答えてくれるでも今この時だけは嘘を付いた。

「私より、桜星さくらはプレゼント何がいい?」

しばらくして夜ご飯も完成し私が完成したものを盛り付けていると、夜ご飯を運ぶのを手伝いに来た、星那せなが聞いてきた。

「私は、これといって欲しいものは無いかな‥‥‥。ただ、桜星さくらが笑っててくれれば大丈夫。」

私がそう言って、食事をテーブルに乗せると桜星さくらも残りのお皿を持って来て席に着いた。

「えー!それじゃあ、私、毎日桜星さくらにプレゼントあげれてるってこと?」

星那せなは嬉しそうに私に聞いてきた。

「そうだね。いつもありがとう。」

私がお礼を伝えると、星那せなは「えへへっ」っと答えたあとに「冷めちゃうから早く食べよ」と言った。

『いただきます。』

今夜の夜ご飯は今までで1番美味しく作れたと思うほど美味しかった。

「片付けは私がしておくから、桜星さくらは先にお風呂入ってて大丈夫だよ。」

星那せなはそう言うと食器を片付け始めた。

「じゃあ、お言葉に甘えて先にお風呂頂こうかな。」

私は浴槽に浸かりながら、夕食を作る前に聞いた星那せなの言っていたことを思い出していた。

「消えかけてたか‥‥‥‥。まぁ、確かにもう自分を保ってるだけでも精一杯だもんな。」

私はしばらく、浴槽に浸かりながら色々考えた。

「そろそろ、出ようかな。逆上せそう‥‥。」

お風呂を出て、リビングのドアを開けようとしたら中から、星那せなの声が聞こえて、私はドアを開けることをやめ廊下で聞き耳を立てた。

「もし、プレゼントの代わりに願いが叶うならあの月が元に戻りますように。」

そこまで聞いて私は、リビングのドアを開けた。星那せなはびっくりした顔した後私の方を見た。

「い、今の聞いてた?」

「なんの事?」

私が答えると、星那せなは「なんでもないの!私お風呂入ってくるね!」と言ってリビングを後にしてしまった。

「本当は聞いてたんだけどね‥‥‥。満月か‥‥今の私でもギリギリ戻せるかな。ごめんね。皆、約束守れないや。」

私はそう呟くと紙とペンを取り出して、置き手紙を残してとあることを調べに、秘密の図書館へ向かった。

その図書館は、私が知りたいことがなんでも揃っていた。今私が知りたいことは、星那せなのことそれと私が愛した人のこと。

2時間ほど二つのことを図書館で調べて家に帰ると、当たり前だが星那せなは寝ていた。

「さすがにもう寝てるか‥‥。」

私も寝るために、貸してもらった部屋に行くとベッドに星那せなが寝ていた。

星那せな。君の願い叶えてあげる。」

私は、星那せなのことを軽く撫でた後布団に入り眠りについた。

次の日は、特にすることも無く2人でいつもの森に言って動物たちと過したり、2人で他愛のない話をして過ごした。

「ねぇ、桜星さくら月を見に行かない?」

この時間に星那せなが出掛けたがるなんて珍しいと思いながら私は「いいよ」と返した。

家を出て、15分くらいのところに見晴らしのいい所があった。

「やっぱり、今日も欠けてる‥‥‥。もしかしたらって思ったんだけど。」

そう言った星那せなの顔はすごく悲しそうだった。

「ねぇ、星那せなはどうしてそんなに満月を見たいの?」

私がそう聞くと、星那せなは語り始めた。

「昔ね、私のことをお世話してくれてた人が満月はとても綺麗だってことを教えてくれたの。それで、私もどうしても見てみたいと思って。」

そう語る星那せなの顔は、凄く輝いていた。

「‥‥‥‥‥」

私は、少しの沈黙の後星那せなに聞いてみた。

「もし、満月が戻ってきたら星那せなは嬉しい?」

そう聞くと、星那せなは目を輝かせて勢いよく私の方を見て「嬉しいに決まってるよ!」と答えた。

「そっか。それが聞けてよかった。」

私はそう言うと、数歩前に出た。

桜星さくら?どうしたの?」

戸惑っている星那せなを無視して私は口を開いた。

「とっておきのプレゼントがあるから、少しの間目を閉じてて欲しいんだ。」

私が落ち着いた声でそう言うと、星那せなは正直に目を閉じてくれた。

星那せなが目を閉じたのを確認すると私は月に手を伸ばした。

「ねぇ、桜星さくら。もう、目を開けてもいい?」

星那せなが待ちきれないと言う感じにウズウズしながら聞いてきたので私は、「もう少し待ってね」と答えた。

もう少し‥‥もう少しで、私が愛した人を自由にしてあげられる。それに、星那せなが笑顔をくれる。私はそれだけで幸せだ。

五分くらいたってやっと月を元に戻すことが出来た。

星那せな。もう、いいよ。」

私がそう言うと、星那せなは目の前に見える満月にびっくりしていた。

「え?嘘‥‥。満月だ!」

星那せなは、涙を流しながら喜んでいた。

「良かった‥‥‥。星那せなが喜んでくれて。」

私がそう言った所で、星那せなは私が消えかかってるのに気付いた。

桜星さくら、体が‥‥‥」

星那せなの顔から笑顔が消えてしまった。

星那せな。お願い。今から言うことを落ち着いて聞いて。」

私が、そう言うと星那せなは涙をポロポロと流しながら頷いた。

「私は、本当はこの世界の人間じゃないの。本当なら星たちと同じところにいないといけないの。だから、ずっとこの世界にいると体に異常が出てしまうし、最悪消えてしまうの。」

そこまで言って、星那せなが口を開いた。

「じゃ、じゃあ!」

星那せながそこまで言って私は、首を横に振った。

「え‥‥‥。」

「月を戻す方法は今私がやったように自分を犠牲にして戻す方法しかないの。でも、それはどんなことがあっても決してやってはいけないこと。まぁ、つまり禁忌だね。私は今その禁忌を犯して月を戻したから、空に帰ることは出来ない。」

私が、淡々と説明していると星那せなは静かに大粒の涙を流していた。

ああ、ごめんね。星那せな。君が泣いてるのに私はなんで泣けないんだろう。

「い、嫌だ‥‥。桜星さくらがいなくなったら私は‥‥‥」

星那せながそこまで言うと私は、星那せなの言葉を遮った。

「大丈夫。星那せなが1人になることは無いよ。」

「そ、れは、どういうこと‥‥?」

星那せなが戸惑っていると、森の奥から誰かが歩いてきた。

「だ、誰?」

星那せなが聞くと、その人物は口を開いた。

「久しぶりだね。星那せな。」

その人物の声を聞いた星那せなは、驚いた表情をした。

「な、なんで?今までどこに行ってたの?小星ちせ。」

小星ちせと呼ばれた少女は、少し困ったような表情をしながら「秘密」と答えた。

「会いたかった!ずっと、ずっと会いたかった!」

星那せなは、泣きじゃくりながら小星ちせに抱きついた。

星那せな。これで1人じゃないね。小星ちせ。あとはよろしくね。それと、こんな私が愛してごめんね。今まで自由にしてあげられなくてごめんね。もう君は自由だよ。」

私がそう言うと、小星ちせは私の方を見て口を開いた。

桜星さくら、君が私のことを愛していたのは知っていたよ。それにあれは私が自分で招いたことだから、君が気にする事は無いのに…」

そこまで言って、小星ちせは口をつぐんでしまった。

「私が、気にしてしまう性格だって言うの1番知ってるでしょ。それに、あれは私にも責任があるよ。」

私たちが話していると、星那せなが口を開いた。

「2人がどういう関係で、昔何があったのか分からないけど私は、桜星さくらにだっていなくなって欲しくないの!だから、どこにも行かないで!」

泣きながらそう告げるその子はとても可愛らしかった。

「ねぇ、星那せな。」

私が、名前を呼ぶと名前を呼ばれたその子は大粒の涙を沢山流しながら私の方を見た。

「私は、あなたが私の事を忘れなければ私はずっとあなたの中に居るから、ずっと一緒に居るよ。だから、笑って。」

「そ、そんなの…無理だ…よ。だって、」

大粒の涙を流す少女は、頑張って言葉を紡いでいた。

星那せな。私からの一生のお願いだよ。」

「ずるいよ。桜星さくら。そんなの。」

星那せなはさらに大粒の涙を流し始めた。

「ずるくないよ。だって、星那せなが教えてくれたんじゃない。どうしてもって言う時に使うんだって。私にとって今がその時だから使ってるんだよ。だから、笑って?ほら、もう時間が無いから。」

私がそう言うと、星那せなは、涙でぐしゃぐしゃな顔で頑張って笑ってくれた。

「ありがとう。星那せな。メリークリスマス。それと、小星ちせ。また、その子と会えてよかったね。私から小星ちせへのクリスマスプレゼントだよ。」

私がそう言うと、2人は涙を流しながらそれでも笑いながら「ありがとう」と言った。

「そうだ。最後にもう一つだけ私から、2人にプレゼントだよ。」

そう言うと、私は残っている力を使ってとあるものを振らせた。

2人は首を傾げたが、空から振ってくる白いものを見て、目を丸くした。

『雪だ…』

2人が雪を見て嬉しそうにしてるのを見て私も更に嬉しくなった。でも、もう時間が無い。

「じゃあね。2人とも最後に大切な人と愛した人の笑顔を見れてよかった。さよなら。」

そう言って、桜星さくらは最後に一筋の涙を流して消えてしまった。


2人は、桜星さくらがいた所をしばらく眺めていた。

星那せな、そろそろ冷えるから家に帰ろう。」

「うん…。そう…だね。」

星那せなは、また大粒の涙を流して静かに泣き始めた。

「あ、い、まの家は、昔の場所からす、少し変わってるから、あん、ないするね。」

星那せなが泣きながらそう言って歩き出すと、小星ちせ星那せなの背中を擦りながら「ゆっくりで大丈夫だよ」と言いながらついていった。

そんな小星ちせの耳に微かに桜星さくらが「もっと一緒に居たかったな」と言った声が聞こえた気がした。

「小星。救えなくてごめんね。私は貴方を産んだ訳でもない。でも救えないなら産まないで欲しかったなんてもう言わないでね。」

小星ちせは、昔桜星さくらに言われたことを何故か今思い出した。


その後2人は、クリスマスになると必ずこの場所に来るようなった。





もし、君が〇〇じゃなかったらもっと違う選択肢もあったかもしれない。でも、私は最後にあなた達の笑顔が見れたから良かった。




幸せになってね。星那せな小星ちせ



ありがとう。

























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