魔王の片側

@tamago56

1章 日常

第1話 違和感 

 親不孝、アニオタ、不登校。

これだけだと残念に思えるかもしれないな。別に特技はないのだが。

ちなみに我は……ちなみに青年は母子家庭だお⭐︎

 

 早速すぎるが先に青年の日記を見てもらおうか。我はめんどくさいからあとはナレーターに任せるわ、ほな__。

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2xxx年 12月2日

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 今日は俺、海山 魏殿(ミヤマ ギデン)の15歳の誕生日。単なる気まぐれで、今日から日記を付けることにした。


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12月13日

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今日は何もなかった。

     

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12月15日

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 今日は俺の推しのグッズを買いに行った。

小遣い無くなった。


 日記は途切れていた。3日坊主だ。

魏殿はと言うと、まだだらけていた。

日記をつけ始めてから3年が経つと言うのにだ。だが、今日の魏殿の様子はいつもとは全く違った。それは何故だろか。魏殿は3年間の間でアイドルガチ恋オタクへと変貌を遂げていた。前と特に変わりはない。そう、今日は推しの新人アイドルグループの握手会なのだ。


「魏殿ちゃん、あまり遅くならないようにね。」

 返事はなく、玄関のドアの開閉音が響いた。しばらく歩き、駅から電車に乗り、握手会会場に向かう。窓から外を眺め、窓に映った自分に気づかず、目的の駅で降りた。

 思ったより混んでおり、何度も人とぶつかった。会場に着いた。はずだったが、路地裏に来ていたのだ。そこで意識は飛んだ_____。


 目が覚めると颯爽と広がる草原。いや、病室?わけもわからぬまま混乱する魏殿。それもそのはず、右目が見えないのだ。病室に母さんの姿は無かった。右半身に違和感を覚えながら起き上がると同時に悲鳴が上がり、すぐに医師が駆け付けた。次第に顔色が悪くなる。医師は冷や汗を流しながら呟いた。

「あなたは…一体…」

気づいたら走り出していた。外はすでに真っ暗、19時頃だろうか。でも、これで良かったと思う魏殿。人目が気になりながら、走る魏殿の姿は、どこか大人びていた。

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