夕暮れの丘に向かい
山本もぐら
夕暮れの丘に向かい
オレンジ色の光が降り注ぐ丘に
走っていく
ストッキングを頭から被ったおじさん。
詩人たちが、
美しい悲しみを歌う中で、
豚たちが崖から転がり落ちる。
誰から言われたの?
先生が言う。
誰にも言われないよ。
小さな男の子が言う。
うっとりした顔でいる詩人たちに、
隕石が落下、全員がグロテスクなミンチ状態になる。
夕暮れの丘では悲しい出来事が、
歴史的に多く発生してきたんだよ。
頭からストッキングを被ったおじさんが、真面目な顔で言う。
風が吹く。
これはあたしの風だわ。
80代の女装したお爺さんが言って、
ミニスカートを捲る。
毛むくじゃらな下半身が現れた。
あたしはミノよ。ミノタウロス。
咆哮する真っ赤な顔の僧侶たち。
橋を渡る緑色のアメーバー。
トコジラミが肥大化してヒグマほどの大きさになり、人の血を吸う。
あー!干からびちまう!
叫ぶ若者が、悲しい歌をうたいながら、ミイラ化した。
古代の展覧会に、そのミイラは出展された。
晩夏だ。
サンドイッチをわざと腐らせるために、乙女は1人で夕暮れの丘に向かい、
膝をついて懺悔した。
いい子過ぎてごめんなさい。
夕暮れの丘に向かい 山本もぐら @yamamotomogura
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