第18話、Find Your liberty!

まあ、みんなでこうして飲み食いして、笑って、困って。俺がこうして覚えているみたいに、課長達も、同じように経験してきたんだと思っています。


「すいません、だいぶ遅れてしまいましたね」

「部長!?」


サプライズゲスト、間に合いました。

みんなびっくり、部長です。


「君には笑顔が足りない。僕が君を笑顔にできなかったのなら、僕は悔しい」


駆けつけ三杯。

部長は少し寂しそうに話し始めました。


「え?」

「誰かがひとつ、何かを「笑顔」で始める。そうすると少しずつ、人が集まってくる。みんながそれを「自分たちでやりたい」という気持ちになった瞬間を待つ。その時に「笑顔」であれば、それは本当にそうしたいと思ってくれたということなんだ。そうやればシメたことで、同じ方向を見る仲間が増えるんだ。率先して始めると、本当は苦しくて仕方ないこともいっぱいあるが「笑顔」は人を呼ぶ。それは「楽しい」とか「ありがとう」という前向きな「本気」が出るからだ。君の「本気」を僕は引き出しきれなかった」

 

確かに部長は僕みたいな若手にも笑顔で声を掛けてくれます。

→みんな、しんみり。


「今の大人が、まず率先して動き、ありがとうと言い合える。助け合える。そして、笑顔が多くなる、ですか」


「なら、僕は部長を笑顔に出来ましたか?」

「おお!いや、まだだな。君を手放すのは、戦力的に厳しいし、まだ群林堂と柏屋の豆大福の違いがわからない」

「すいません、それは譲れません」←今までで一番早いレスポンスでした。


「課長、仕事ってなんですかね?」

「うん?そうだな。なんだろうな」


2人で名古屋駅のバスターミナルで座って、缶コーヒ飲みながら、バスを待っています。


「お金って回答の先、だよな。そうだな、衣食住はお金で解決できる。今の日本だと殆どの幸せは買える」

「そうですね。だから時間単価が高い仕事や不労所得が人気です」

「なんてかな、80歳まで生きるとして70歳まで働くなら50年、半世紀働くんだよ、お前。で1/3は仕事なんだから17年の時間を費やすって考えんと、なんか、その時間を費やす価値ってやつを社会に見出したくならないか?」

「会社を介して社会に貢献ですか?」

「そこまでデカくはないさ、会社員。上にいけばやれることも増えるが責任も増える。だけど、一個ぐらい言いたくならないか?俺はこれを成し遂げた!ってさ。再生回数じゃ、お客様のありがとうは買えねーぞ?」

「確かに感謝は買えませんね」

「動画見たって、現物には敵わんよ」


ほら。見上げた満月は、あと何回見れるのだろう?


「よし、来たな」

「はい」


これから、バスに乗って帰って寝たら、来週からまた仕事です。


会社員、最後の満月を僕はどこで迎えるのかな?


それじゃあ、おやすみなさい。

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