祈呪

第1話

【近隣住民の方のインタビュー】

寺が近くにある家って何か、幽霊とかみれるかな？って思って私ある町に越してきたんですよ。

何だっけ？加羅村だったと思います。

でも、先日そんな考えを改め、その家を売って今はこのぼろアパートに住んでるんですよ。

ほんとに怖いのは幽霊とか不確かなものではなく人の悪意、妬み、そんなものだったんだと実感してます。

ある日、私が近くのスーパーマーケットに行った帰りに、その寺にぬいぐるみ持ってきた人がいたんですよ。ちらっと横目でみただけですけどね、大事そうに胸に抱いてて…確か20歳くらいの男性だったと思います。何か上の空みたいな感じでしたね。

両脇にはその人の両親らしい人が心配しながら腕掴みながら連れてってました。

何かに憑かれたのかな？って思いました。私霊感とかはあまりない方なんですけど、なんというか、重かったんですよ、その人たちの周りの空気が、常にその人たちが監視…束縛されてるっていうか、そっちの方みたら「見るな」と言われてる感じがして、すぐに家に向かって走りました。

何なのかはわかりませんけど、それを見るためにここに来たのに逃げちゃってました…本能ってやつですね。

多分…呪われてたんだと思います。

そういうことにはよくわかんないですけど重い感情がねじ曲ったような悪意…のような感じだと思いますよ。

視線感じたって言ってましたけど、女性のような鋭い視線だったんだと今考えたらわかります。