第11話「後扉の解」
その仮初に
私は愛を見たのだと
誤認していた
ただ返す時間
ただ繰り返す螺旋
その世界の中来に
もうとう愛を奏でてなどいない
どうせ君の居る世界に
僕の世界が可燃物でしかなく
その燃えた日和に
淡白な零獄が広がるから
愛を受け止めた
この身が
壊れるから
そう分かるからもう
後扉が閉まっていく
この揺れう琥珀
この天秤にある過去と未来の扉
その両極にただ愛を奏でては
それが戒めの呼び声だと
もうとう意識は消えているのに
君は居ないのに
それでも君はその僕に
その墓場に愛を鳴らすなら
その魂の声に
その残響に
ただ暮れていいだろうか
琥珀の宇宙
陽炎の灯火
もう世界は盤外から
照らしてもいいのか
この愛を壊す前に
この愛が世界を壊す前に
君に会いたい
会いたいよ
もう、ファンタジーでいいから
この宇宙から解き放ってほしい
君の声が聞こえるんだ
ほんとに、さよなら
ほんとにありがとう
もう後扉は
君のために開けておく
帰っておいで
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