詩集「愛情ノ痕跡」(完)

不可世

第1話「愛の頃合」

愛にある優しさ

夢にある愛しさ

全ては淡く

明暗がある


その落ちた陰に

瞳を濡らした事


その挫折した夜に

声を殺して嗚咽したこと

全ては日常にあった

人間とのおとぎ話


閉ざした時間が

閉ざした無念が

確かに開花することがある


世界は出来上がってはいない

だからこそ定まった幸せも

答えもない


その灯を抱き

その愛を

確たるものへと昇華させる


その時間こそ

いつくしむ愛こそ

ただ僕らに必要なものではないか


この腕の中にあった

我が子

反抗されたこともあった

それでも愛を止めたことはなかった


いつだって思った

いつだって愛した

だから涙が出る


大切だから

傷ついてでも

かばった


自分よりも大切にした

だから心が痛むほど泣いた


僕らは互いに

依存している

家族だから

愛があるから

素敵だから


この温まる世界に

母以上のぬくもりと

父以上の背中の広さに


いつか追いつけるだろうか

愛を受けて育ったから

愛で恩返ししたい


僕はただ生きるだけじゃ

いけないように思える

この僕を育てた世界にも

何か恩を返したい


だから

日々笑顔を絶やさず

優しく

あるように

頑張る


ねぇあなたもそうでしょ

じゃあ行こうか


愛を返しに

約束だよ


消えない愛を残そう

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