第17話 最近YouTubeで見ているもの

 いつもエッセイにこんなことばかり書いていて、書いているわたし自身がうんざりしているのだが、ここしばらく小説を書いていない。短歌も作っていない。創作とはぜんぜん関係のない剣道のことを考えている。


 たしか去年も同じようなことを書いたはずだが、わけあって剣道の練習をはじめた。若いころやっていたとはいうものの、50を過ぎた人間が若い(といっても30半ばをすぎているが)人に交じって剣道をするのは大変である。普段から竹刀を握っているというならまだしも、年に数回しか体を動かさないというレベルのわたしにはなかなか辛いものがある。


 しかし、やると決めたからにはみっともない剣道はできない。なにしろ50過ぎなのである。大ベテランなのだ。若い剣士が下手くそを笑われるのは恥ではないが、老年に片足をかけたベテランが、体力はともかく剣道の格で若者に見劣りしてしては、場が白けてしまう。ことは非常にデリケートな問題なのである。


 恥をかきたくなければ、近所の道場か剣道サークルにでも通って練習すればよさそうなものだが、生来の無精者であるところのわたしは、「そんなのめんどうだから、YouTubeでなんとかならない?」とYouTubeで剣道動画を物色しては、眺めるとういう行為をここ最近ずーっと繰り返していたのである。


 カクヨムは小説を書いたり読んだりする人たちが集まるサイトである。YouTubeに投稿された動画のなかから、特に剣道動画を選んで物色する人はいないと思われる――わたしを除いては。ちょっと想像がつかない方もいるかと思うが、世の中には剣道の動画を好んで視聴する人たちがいるのである。好んでネット小説を読もうとする人たちがいるのと同様に。


 多くは現に剣道を嗜んでいる人たちである。剣道部で日々剣道を練習している中高生や、社会人になっても剣道修行を続けている人たちだ。彼らに人気の動画は大きく分けて二種類ある。


① 一流の剣道選手たちが戦っている試合の様子を撮影した動画


と、主に中高生を対象として


② YouTuberが剣道上達のコツを伝授する動画だ。


 有名選手が試合する様子を撮影・編集した動画はずっと以前からYouTube存在し、一定の支持を得てきた。わたしも10年以上前から見ている。しかし、ここ数年、②の剣道が上達するコツを解説する動画が増えてきた。しかも、動画に登場するYouTuberの腕前が相当程度に高いものが多くなってきたのだ。


 わたしが見ているのも、この剣道が上達するコツを伝授しようとしている動画で、非常にわかりやすくタメになる。YouTuberが非常に剣道が上手い(おそらく、高校で各県の代表選手に選ばれる程度には上手い)のも説得力があっていい。かつては、一部の強豪校の選手しか見ることができなかった一流選手の技と技術なのだ。強い剣道選手はこんなこと考えながら練習しているんだ、と目からウロコが何枚も剥がれ落ちる思いである。


 YouTubeを見ていると、なんだか自分もやれそうな気がしてくる。それだけでも楽しい。


 ☆


 一流の小説家もYouTubeに小説を書くコツとか、文章を作る技術とかを公開してくれないですかね〜。スポーツと違って小説って、作家のメディア露出が少ないんですよ。ベストセラー作家にしても、どんな人が書いているのか、どういう方法で書いているのか、アイデアの出し方は……、まったく知られてないですもんね。


 YouTuberになれよ〜有名作家。

 おれに小説を書くコツを教えてくれ!

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