書かない作家日記

藤光

第1話 だから、エッセイを書こう

 こんにちは。はじめまして、あるいはいつもお世話になっています。藤光とうこうといいます。エッセイのタイトルにあるとおり“自称カクヨム作家”。しかもです。


 ――書けない作家ってなんやねん。


 そう疑問をもたれるのはごもっとも。

 なぜわたしが書けないのか。以前からわたしのエッセイを読んでくれている方はとうに知っておられるでしょうし、これから読んでやろうとする方も、読み進めていくうちにわかってくると思います。とにかく、わたしは書けなくなってしまったカクヨム作家です。新しくエッセイを書くことになりました。よろしくお願いします。




 さて、新しいエッセイの第一話は「エッセイを書こう」にしました。


 ――カクヨムは小説投稿サイトじゃないの? エッセイ書いても意味ないよ。


 まあ、そうなんですけどね。

 でも、ちょっと聞いてくださいよ……。


 先月、生成AIと人とが協力して手塚治虫の新作漫画を製作するプロジェクトの結果が発表され、週刊少年チャンピオンに『ブラックジャック』の新作エピソードが掲載されました。皆さん、読まれました? わたしは読んでないですけど。。。


 AIに手塚治虫の新作漫画を描かせる試みは、2020年に続いて2回目だと思います。20年の段階ではAIの力だけでは不十分なところがあり、まだまだ人の手を加えなければ漫画作品として鑑賞に堪えるものとはならない――という感じだったと記憶しています。その後の23年のプロジェクトでは、NHKでも作成過程が放送されていましたが、生成AIの能力が向上した結果、漫画製作においてAIの担う部分がだいぶん増えたようです。この調子でいくと、いずれはAIの力だけで人の鑑賞に堪える漫画作品が作られるようになるかもしれない……わたしはそう思います。


 エッセイを書くことと、AI漫画と、どこが関係してるんだって?

 いや、おおいに関係すると思ってるんです。


 以前、わたしもチャットGPTに「小説を書いてみて」と書かせたことがあり、その間抜けさに笑ってしまいましたが、生成AIの進歩は笑ってられないくらいの速度で進んでいます。いずれ人を楽しませるだけのクオリティを備えた小説をAIが書くようになるでしょう。すくなくとも、ネット小説界隈で散見される「テンプレ小説」は人の手になるものよりAIの作ったものの方が幅を利かせる日が必ずやってきます。そしてまたたく間に「テンプレ小説」から人の作った小説は駆逐されてしまうでしょう。作品の質はともかく、執筆速度(量産速度)が段違い優れているからです。小説という「架空の物語」や「作り話」を製作する速度において、人間はAIの足元にも及ばないでしょう。


 AIに人の心は理解できませんから、真の意味でいう人間の心の深層に迫る物語をAIが作れるようになるとは思いません。ただ、既存のエンタメ小説だって心の深層にまで踏み込んで描かれてはいませんし、だからといって面白くないわけではないのです。どういうことかというと、AIに描けるレベルの小説で人は十分に楽しむことができるということです。そして、そうなるとすると、ネット小説家の投稿するエンタメ小説により支えられているカクヨムをはじめとするWeb小説サイトは、早晩立ち行かなくなってしまう、ということが分かるでしょうか。


 ただ、小説は廃れても、エッセイは投稿サイトに残ると思うんです。

 エッセイは、それを書く人が経験したことや、その経験を通じて感じたこと考えたことを文章に描く文芸です。「作り話」である小説と違って、文章の向こうにいる経験者(書き手)を感じながら読むのがエッセイなんですね。そこに「嘘」があると、途端にそれはエッセイではなくなるんですよ。だから、AIにエッセイは書けない。人でないものの書くものは、エッセイとなり得ないからです。






 ってなわけで、将来、一部の純文学的小説を除いて、小説は書かれなくなる――という未来予想図のもと、藤光はせっせとエッセイを書くことにしました。いいえ、決して小説を書くのがめんどくさいとか、そんなネガティブな理由じゃないですよ(汗

 

 週に2本くらい書ければいいかな~くらいに考えてます。はじめましての方も、いつもお世話になってます方も、藤光のエッセイをよろしくお願いします。がんばります~。

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