4 自然

奇跡は自然に隠れている。木々は生きた柱だ。

林を歩けば、

オレを見守ってくれる。

耳を澄ませば、得体のしれないものがつぶやきかけて来る。


その声は絶え間なく聞こえる。

遠くどこからともなく、

香りと、色と、声が一つとなって戯れ、

たぶん、暗い奥深いところから聞こえて来るのだ。


その声は疲れたように甘ったるく、草いきれと混じり合い、

オレに絡みつくように聞こえて来る。

―その声に、傲慢な腐臭が混じる。声は本物になる。


自然は、香りを大判振る舞いしてくれる。

臭いフェチのオレは、全身全霊で囁きに耳を傾ける。

脇の下はどう? 足の指の又は良い匂い? 股の間はお好き? 自然の声にオレの五官が目覚める。

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