白いバラのつぼみに花言葉を

黒ーん

本当にあった本当の出来事

はじめに

 昨今、あらゆる分野で多様性を尊重する動きが見られるようになりました。取り分け性的指向などに関しては、世間でもLGBTという言葉が日常的に行き交うようになり、日本でも少しずつ理解を得られつつあるのではないでしょうか。


 ちなみにそういった多様性に対して私がどう考えているのかと言いますと、それはとても良いことだと思います。


 他人を好きになる。百人の人がいたならば百通りの好きの形があるのでしょうが、どうあれ他人を好きになったなら、きっとその人のことを知る為に理解を深めようと努め、結果がどうあれ、そこから新たな価値観や発想が生まれることに間違いは無いでしょう。


 それも同性であることや、少数派な性的指向、性自認が定まらないながらも誰かを愛するということは、葛藤があり、奇異の目で見られ、決して楽ではない道を選んだことに他なりません。なればこそ、それをも乗り越えて他人を愛するという未知を選択したその人は、尊敬されて然るべきではないのでしょうか。


 さて、何故このような前置きをしたのか。それは数年前、私がある体験をしたことに起因し、場合によっては誤解を招きかねないので、どうしても前述しておく必要があったからです。


 さて、これ以上はくどくなってしまうので、まずは私が体験したある出来事を語るとしましょう。


 そう、あれはまだ私が二十代そこそこの頃のこと――。

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