【第3部〜神国編〜】第44話 500年の時を経て②

 取り敢えず、また人形部屋に戻って来た。今夜また、梵天(ブラフマー)が来ると言っていたな。私も犯されたの入れて経験人数が5人ともなると、セッ◯スに抵抗が無くなって来たな。梵天(ブラフマー)は、早漏ですぐに終わるので、私が彼女や妻だったら物足りなくて、外でセ◯レを作っちゃうかも知れない。弁財天(サラスヴァティ)は、浮気してるかも知れないね?そう言えば、嫉妬深くて有名だっけ。祀られている広島の宮島にカップルで行くと、弁財天様がカップルに嫉妬して、必ず別れされると言う都市伝説があるね。不忍池にも同じ様な都市伝説があるよね。

そう言えば、弁財天(サラスヴァティ)は、阿修羅(アスラ)王と戦って勝った事もあるほど強いんだっけ?全く、どいつもこいつも魔王級の強さだわ。

 人形のフリをしてちょこんと棚の上に座っていると、梵天(ブラフマー)が部屋に入って来た。私をお姫様抱っこしてベットに連れて行き、上に乗って来た。口付けをしながら、胸を触られて、靴下を脱がすと、足裏に抱擁した後、足指を舐めて来る。いつものパターンだけど、くすぐったくて笑い死にしそう。

無表情を続けるのは無理では?と思っていた。

「キミ、何でまだ人形のフリしているの?」と耳元で囁かれ、ドキッとした。

「何だ、バレてたんだ?」と、開き直って梵天(ブラフマー)の背に手を回して抱きしめた。梵天(ブラフマー)は、半信半疑でカマを掛けただけだったのだろう。ギョッとして、私を引き離そうとしたので、今度は私から口付けをして「抱いて?」と誘うと、それに興奮したのか?無我夢中で私の身体を貪ってすぐに果てた。

「いつから?(動ける様になった?)」

私の髪を撫でながら聞いて来た。

「この間、私を抱いた時に突然、身体が動く様になったの」

梵天(ブラフマー)に甘える様にしながら答えた。

「もう私には貴方しか寄る辺が無いの。大人しくするから、ここに置いて下さい」と頼んだ。

「分かった。その代わり、この部屋からは出るなよ。妻に見つかったら、お前は殺されるし、俺もただでは済まないからな」

私が自分のモノになったと思って、感情が昂ぶられたのか?珍しく再び私を抱いた。私は今まで以上に感じている演技をして、梵天(ブラフマー)を満足させて悦ばせた。それから梵天(ブラフマー)は毎日部屋に来る様になり、私を抱いて共寝する様になった。見かけはラブラブな2人だ。私の思惑をコイツは知らないから。共寝しながらも私の太腿を撫で続けていた。正直、キモい。でも段々慣れて来た。慣れは怖い。平気で嘘を付ける。自分にも、梵天コイツにも。嘘の愛を語り、嘘の口付けを交わし、嘘の様に平気で抱かれる。この関係をそれから1年以上も続けた。梵天(ブラフマー)は私に夢中になり、2人は愛し合っていると勘違いし、私に全く警戒しなくなった。この時を待っていた。

 部屋から出るなと言われていたが、毎日こっそり室内を歩き回って配置を確認した。屋敷内で何人かに見つかった事もあるが、存在が秘密である私の部屋(人形部屋)に着替えを届ける様になった使用人達だったので、顔見知りになり不審者扱いはされず、奥様に見つかるとマズいと言われて部屋に連れ戻された。使用人達は私の事を梵天(ブラフマー)の愛人で側室候補だと思っているらしく、丁寧に対応してくれていた。

 私は魔力も完全に回復しているし、能力が使えなくなったりもしていない。ここから私だけが抜け出るのは、もう簡単だ。しかし、ロードとソーシャも連れて行きたい。どうすれば良いのか答えが出ず、途方に暮れた。

 いつもの様に部屋を抜け出て室内を物色していると、背後に今まで感じた事が無い強い殺気を感じた。振り返ると、冷ややかな目で私を値踏みする女性が立っていた。

「無礼者、拝礼をしないか!この方は舎脂(シャチー)様であらせられるぞ!」

後ろで控えめにしていた侍女が、虎の威を借る狐みたいに偉そうに言って来た。

どうやら私は、帝釈天(インドラ)側に来てしまっていたみたいだ。

「失礼致しました。私は梵天(ブラフマー)様にお仕えする侍女ですございます。来たばかりでまだ様子が知れず、ご無礼致しました」

とっさに嘘を付いた。いつの間にかに平気で嘘が、口からスラスラ出る様になってしまった。

「梵天(ブラフマー)様の所の?」

ジロジロと感じ悪く、足の爪先から髪の毛まで見られた。

「梵天(ブラフマー)様の顔を立てて、不問にしましょう。貴女、気を付ける事ね。弁財天(サラスヴァティ)様は、私なんかより、よほど厳しくてよ?」

そう言うと、もう私に興味無さそうにして去って行った。

「感謝致します!」

姿が見えなくなるまで、拝礼のポーズを取る。冷や汗をかいているのに気付いた。なるほど、確かに彼女もかなり強いな。ロードがボコボコにされたのも理解出来た。

 大人しく人形部屋に戻ろうとして角を曲がると、帝釈天(インドラ)に出会でくわしてしまった。右手首を掴まれて、左肩を抱き寄せられた。

「闇の女帝、何故ここにいる?」

「私は…梵天(ブラフマー)様の捕虜となり、改心してお仕えしている」

「出鱈目を。そんな話は聞いていないな」

手首を強く握られた。

「痛い。嘘じゃありません。聞いて下さい」

「黙れ!こっちに来い!」

肩を抱かれて、部屋に連れ込まれた。

ベットに押し倒されて、口付けしながら下腹部を弄られる。

「あぁ、ダメ。私は梵天(ブラフマー)様のモノです。こんな事をして、許されるとでも?」

「その気の強い所がたまらない。1度抱かれれば、梵天(ブラフマー)の事なんて忘れるさ。あいつ早漏だろ?俺のは良いぞ、忘れられなくなる。自分から腰を振って来る様になるぞ。ロードみたいに」

私はカッとなって、大声で叫んだ。

「誰か!誰か助けて!火事よ!」

「何っ」

部屋のドアを開けられ、使用人達と共に舎脂シャチーも立っていた。

「これはどう言う事かしら?あなた…」

張り詰めた冷たい空気が流れる。

「こ、これは、その…」

帝釈天(インドラ)は動揺して、しどろもどろに弁明も出来ない。私は舎脂(シャチー)の足元に縋り付いて、帝釈天(インドラ)に襲われたと説明した。すると、凄まじい殺気を放ち、私は蹴り飛ばされて転がされた。

「お前が色目を使ったんじゃないのかい?」

傷は自動回復(オートリジェネ)で治っているが、蛇に睨まれた蛙の様に身動きが取れない。

「決してその様な事は…」

ございません、と言おうとした私の頭を激しく踏みつけ、床で額を割って血が流れた。

「お許し下さい。奥様…」

そこへロードが入って来て、舎脂(シャチー)を宥めてくれた。

 疑り深い舎脂(シャチー)はロードに、寵愛を得る為に他の女を用意して当て付けたのか?と詰め寄り、今にも殴り合いが始まりそうな剣幕となった。

 そこへ梵天(ブラフマー)がやって来た。

「その娘が何かご迷惑でもかけましたか?この娘は私の大切な女なんだ。私に免じて許してやってくれないか?」

「梵天(ブラフマー)様がそう言うなら…。お前、もうこちらに来てはダメよ。次に見かけたら容赦しないわよ」

舎脂(シャチー)は帝釈天(インドラ)の耳を引っ張りながら部屋を出て行った。

「さあ、お前も来るんだ」

差し伸べられた手を取って、起き上がると、お姫様抱っこをされて、人形部屋まで駆け足で行った。弁財天(サラスヴァティ)に見られるのがよほど怖いのだろう。その間、終始無言なので機嫌が悪いのは分かる。

「きゃっ」

ベットに雑に放り投げられた。顎を掴まれて無理矢理に目線を合わせて、問いただされた。

「何があった?」

私は正直に一部始終を話した。所々、話を盛って。

「私は貴方のモノだと言ったけど、俺に抱かれれば貴方なんて忘れて自分から腰を振る雌になる。俺が忘れられなくしてやると言われて、犯されそうになりました」

泣きながら梵天(ブラフマー)の胸に縋り付くと、優しく背中を撫でられた。

「抵抗しても、逃げても必ずお前を抱く。ずっと前から、私を狙っていたと言われたわ」

梵天(ブラフマー)の胸で泣き、帝釈天(インドラ)は私を諦めていない。怖いと言って震えると、梵天(ブラフマー)の瞳に静かな怒りの炎が浮かんだのを見落とさなかった。

 思っていた展開と違うけど、「美女連環の計」は上手くいきそうね。成功させるにはもう一度、帝釈天(インドラ)と2人きりで会う必要がある。梵天(ブラフマー)の背に手を回しながら、私はニヤリと笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る