現し世は桜花の化身
和達譲
;はじまりの雨
;ふるさと
ふるさとの地を離れて七日。
雲ひとつない空とは裏腹に、わたしの心は湿った陰りを帯びている。
いっそこのまま、永久に霧中を彷徨えたなら。
不毛な願いも虚しく、気付けば都が目の前に。
果たして待つのは順境か、逆境か。
これは正しい選択なのか、進むべき道だったか。
確かめる術は、もはやない。
後戻りは、二度と叶わない。
ただ、恵みの雨が降りますように。
家族に幸福が、両親に安寧が訪れますように。
重ねて願うのは、己の屍を超えた未来だけ。
「───お待ちしておりました」
何故ならわたしは、顔も知らないお殿様のもとへ、召し上げられるのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます