生きる理由




 ずっと、ずっと、透明人間だった。


 誰かに消えてと言われたのか。

 自分が消えたいと思ったのか。

 それすらわからない透明人間。

 何もかもわからない透明人間。


 見つけ出してほしいと願ったのか。

 このまま消えてしまいたいと願ったのか。


 君に見つけてもらった事すら、もしかして自分が創り出した記憶ではないのか。

 ふと、抱いた疑問。

 もしそうだったとしたら、ぼくは、誰かに見つけ出してほしいと、願ったんだ。






「早くマトリクスコピーを解きなさい!!!」






 見つけ出してくれたら、ぼくは、きっと、

 その人のために、

 いいや、

 その人を生きる理由に、











(2024.1.26)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る