第12話 6日間戦争1
11 6日間戦争1
1日目
アスレチックが完成した。
3mx3mの網を張た大きな木枠2つを逆V字に合わせた網を登るやつ。丸太の平均台。大小様々な円柱石。2本の柱の間にロープを2本張り、1本を手でつかみ、1本に足を乗せ綱渡りするやつ。ブランコ。滑り台。そしてレッサーパンダの顔のドーム、サイズは平屋一軒くらいで、頭に王冠を被っている。口が入口で、中でお茶会もできるテーブル付き。目から顔を出せるし、横から頭のてっぺんに登れる階段を付け王冠に入れる。しかも王冠内はコクピット使用で舵輪と各種スイッチ付き。俺の力作である。
子どもたちはアスレチック作成中から邪魔にならないように遊んでいたので完成の感動とか何もなし。
教会の子とジャイ〇ンはジャイ〇ンの謝罪により今では仲良く遊んでいる。なんならジャイ〇ンがいいお兄さんしててびっくり。そろそろジャイ〇ン呼びを代えてやるかな。
ジャイ〇ンは太っているから、『オーク』にしよう。
スネ〇1は、たまねぎ頭だから『たまねぎ』
スネ〇2は、キノコ頭だから『キノコ』
うん、いいネーミングだ。
3人揃ってオークソテーです。
ワイワイ遊んで、みんなそれぞれお昼を食べに帰る。俺とくーちゃんがギルドの前までくると、3人の人影が行く手を阻む。その後ろにピカピカの鎧を着た護衛が4人いる。
「聖なるお方、お迎えに参りました」
真ん中のザビエルカットの司祭と名乗ったおっさんと左右の若いシスターとおばちゃんシスターが怖い笑顔を浮かべ頭を下げる。
「・・・・」
無視してくーちゃんの手を繋いだまま横を抜ける。
「お、おまちを・・おまちを!」
無視無視。
ギルドに早足で駆け込み
「おばちゃん、やべーのがいた。匿って」
司祭たちがギルドに入ってくる。
ギルマスの執務室がある奥のスペースに向かうドアを勝手に開け執務室に逃げ込む。
「どうしたどうした?」
やべーやつが来た、やべーやべーとしか言っていないのでギルマスも困惑していると、おばちゃんがノックして入って来た。
「教会が聖なる方を保護しに来たってよ、どうするんだい」
「はあ?」
「だからやべーやつって言ったろ」
「ふぅ、やべーやつだけじゃわからん、落ち着け。そいつらは明日改めて俺んとこに挨拶に来いと伝えて追い返せ」
ギルマスの指示におばちゃんが出ていくと、あいつらが出て行ったらいったん飯を食ってこいと言われた。
昼ごはんの後、くーちゃんお昼寝タイム。受付を酒場のマスターに任せ、
ギルマス、サブマス、おばちゃん、ゴルググのおっちゃん、俺で緊急会議。
「つい先日王都に報告したばかりだぞ。しかも王国の派遣員より先に教会の人間が来るって、どういうことだ」
「まあ情報が漏れてるんだろうが、だだ漏れ過ぎじゃな」
「こんなに動きが速いのは、教会は聖獣様の有用性を把握できている、と言うことなんでしょうか」
「あんな横柄な態度の奴らにくーちゃんを連れていかれるのは嫌よ!」
「取り敢えず教会の世話になるつもりは無いと小僧の確認は取れているから断る方向なんだが、あっさり引いてくれるかの?」
「無理じゃろうな」
「でしょうね」
「ムリムリあいつらしつこそう!」
「小僧はもう断りを入れたのか?」
『ん~、無視して逃げて来た』
「領主様に相談して王家から教会に意見していただくのと、あとは何がある?」
「奴らをふたりに合わせない」
「一度は会って断りをいれた方が…」
「あいつらに嫌がらせして追い出せばいいのよ!」
おばちゃんが過激になっていく。
2日目
ギルドの応接室にて面談が催される。
こちらは、ハゲマッチョ領主様、ゴリマッチョギルマス、ぽっちゃりおばちゃん、俺、くーちゃん。
あちらは、ザビエルヘアー司祭と怖い笑顔おばはんと若いシスター。名乗ってたけど、覚えるつもりもないのでザビエル。
領主様が本題の前にどこから情報を入手したのかを問いただすも、ザビエルが王都に確認を、とか言ってのらりくらり。
仕方なく追及を切り上げメインの話へ。こちらは領主様が、あちらはザビエルが主で会話をする。
「では、本題に入らせていただきます。聖なるお方は本来、我らが導きの神、創造神オルサ・マーテル様の神子にあたります。それならば教会が保護しお支えするのが本筋というものです。ですので私めがそのお役目を仰せつかり、お迎えに参りましてございます」
「そちらのお考えではそうなのでしょうが、神託でも降りたのでしょうか。本人が望んでおりませんし王国としても本人の自由意志を尊重しております」
「望んでないのは、守人様なのではないのですか?」
「くーちゃん、この司祭様に付いていきたいかい?」
「いや」
「と言うことです。速やかにお引き取りを」
「いやいや、まだご自分で決断できるお年ではございません、誰かに言わされてるなんて発言も私共の同僚からも出ている次第でして。物心つくまで私共がお育てするのが適切かと」
同僚どこにいるんだよ。
「そう言ってあんたらくーちゃんを自分たちの都合のいいように洗脳するんでしょ!」
おばちゃんがすごい剣幕で割って入る。よく言ったおばちゃん!そうだそうだ!
「これはこれは異なことを。神に仕える者がそんなことするはずもございません。一度来ていただければわかることです」
うわー「一度来い」って言葉怖え~~。二度と出られなくなるんじゃね?
「兎も角、本人も拒んでおりますのでお引き取りを、それから王家にも報告を入れさせていただく」
「神のお怒りに触れても知りませんよ、では失礼いたします」
最後は罰が当たるぞ脅し。どこかで聞いたような手法だな。
ザビエル達は鷹揚な仕草で去っていった。
ソンリッサ西部の宿屋
「エストデセオに待機させている者たちを呼んでください」
「はっ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます