保護した聖獣はレッサーパンダの聖獣だった。
プリン王
第1話 はじまり 登録
1はじまり、登録
森の中の、馬車が一台通れるだけの人の往来がほとんどない田舎道。ひとりの少年がもう3日、誰とも出会うことなく森の中を通る道を重たい足取りで歩く。
みすぼらしい服。泥だらけで疲れ切った顔。10才にも満たないと思われるその身長は低く、ぼさぼさの水色の髪の左側頭部が白髪になっている。
ギャッギャッギャ
少年の前にゴブリン3匹が現れる。くすんだ緑色の皮膚、猫背で狡賢そうな目で少年を睥睨する。
「ボール、ボール、ボール」
少年は手のひらをゴブリンに向け、詠唱と共に手を前に押し出すとストーンボールの魔法が発動しゴブリンの顔面を襲う。
あっという間に倒してしまったゴブリンの討伐部位を確保して、土魔法で穴を掘り、ゴブリンを穴に落とし、再び土を被せる。
「おなかすいた…」
少年は再び重い足をひきずって歩き始める。
遠くに小さな街が見える。少年は笑顔をみせる。背負い袋を背負いなおし己を鼓舞して足にちからをいれる。
「あと少し。がんばれ!」
ここはイリスファボル王国の東の端のやや北に行ったところにある小さな街ソンリッサ。
王国東の都市エストデセオと北東の城塞都市ノルテエンテの間、馬車で約3~4日を
日が落ちるにはもう少しありそうなのどかな時間帯、ハンターギルド、ソンリッサ支部の紅一点、小太りでダークブラウンの髪を頭頂部より後ろでお団子にしたおばちゃん受付嬢ドリーが
ギルドのスイングドアを開けるひとりの背の小さな少年、そのままドリーがいるカウンターにが背伸びをして手をついた。
「あの、ハンター登録したいんですが」
ドリーは少年を見やる。
この子どこから来たのかしら。隣街から歩いてきたのかしら。
「坊やハンター登録は10才からよ」
「10才です!(本当は8才)」
「ほんとに…『10才です!』」
「あなたなら孤児い…『10才です!』」
かぶせる
何度か押し問答をして、村でひとりぼっちの俺に魔法を教えてくれた師匠に言い含められていたとおりに、村を追い出されたことを必死に伝えたら、しぶしぶ登録してもらえた。
そうこうしていたら、外に出ていたハンターが帰ってきた、背の低い赤鼻の盾を持ったおっさんとノッポで槍をもったおっさんがニコニコ入ってくる。凸凹コンビだ。おじさんたちの笑顔をみていい街かもと思う少年。
おばちゃんは受付をするからハンター心得の説明は明日だとギルド2階にある宿泊スペースを教えてくれる。身寄りの無い者やお金がない者などを臨時的に泊めてくれる所らしい。
ひとりで2階に行き部屋に入る。ベッドは2つ。背負い袋をイスの上に投げ出し大きく息を吐く。そして靴を脱ぎベッドの上に体育座りをしておでこを膝につけて呟く。
ふ~~。師匠~登録できました~。もうここには悪魔憑きなんて言うやつも、石を投げてくる奴もいない。これから人生楽しみます。
いやー、異世界転生して中身おっさんで精神年齢が高いからと言ってもこの2年はキツカッター。でもひらけてない世界の村ってあんなものなんだろうな。
……よくがんばった俺……師匠ありがとう………カロンくん身体をありがとう……………たのしもう……………
いつの間に寝てしまったのか、身体が痛い。そして腹減った〈ぐぅ~~〉背負い袋から干し肉を取り出してつまむ。何時だろう。
大きく伸びをして
むっふー!Gランクハンター、カロン始動ガンバルデス!
階段を降りギルドのフロアに立つ。もう日も登っていてハンターはとっくに依頼を受けて街を出ている。
「カロン!こっちに来なさい」
投稿初日からいきなり先生に呼び出された。寝坊したから?どきどき。
ハンター初心者説明でした。
ハンターランクはG~A。Sは英雄レベルで国の認定が必要だとか。俺には関係ないから別に覚える気はない。
なぜならCランク以上は上げないから。Bランクから指名依頼があるので、貴族とかめんどくさいから上げない。(予定)
あとはハンターの細々した禁則、「盗むな、傷つけるな、騙すな。ズルするな」とかあたり前の事。こんな事を念押ししないといけないくらい教育とかモラルが浸透してないんだろうな。注意しないと。
ハンターになったからとすぐには街の外へ出られるわけでもなく年齢制限がもうけられているだと。なぬ!?
12才から外で活動でき、Fランクにまでしかなれない。
14才はEランクまでで、ゴブリン討伐もEランクから許される。
16才はDランクまで。
18才からはCランク以上解禁となる
これは若い命を守る措置だってさ。うおう、Gランクの俺様は2年間狩りができないだと。12才と言い張ればよかった。ブーブー
取り敢えず街の依頼をこなしつつ外へ出る方法を探るしかないか。
ぐぅ~~。お腹が鳴る。
おばちゃんは説明を切り上げてくれた。たすかった~。
やっとメシだ、昨日からさっきかじった干し肉しか食べてない。ギルド内にある酒場で朝ごはんを食べる、硬いパンとクズ野菜のスープ。村で師匠と狩りや罠を作って貯めたお金を出して暖かいスープを飲む。
お腹も膨れて、掲示板に向かう。
さあ依頼をこなそう!
依頼がない・・・orz
崩れ落ちる。小さな街だからGラン
クの依頼がなかった。
いきなりの試練、外に出られれば狩りができるのになぁ。せっかく温情で登録してくれたから、勝手に外行ったらダメだよね。
「おばちゃん、依頼じゃなければ街の外に行ってもいい?」
「何のために行くんだい?」
「さんぽ?」
「ダメだね、あんたはギルド内の清掃が仕事だよ。あそこに掃除用具があるから1階から掃除しな」
むむむう、しかたない刑務官の監視の目をかいくぐり脱獄の機会をうかがうとするか。
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