第17話 到着、少々疲れました
関所の前で順番待ちしています。
はい、クルトンです。
交易都市コルネンへの入り口は門代わりの関所が有るだけで城壁の様な壁はありません。
関所からでも見える中心部、領主館を含む交易地区は3m程度の壁にぐるっと囲まれています。
そこは塩、小麦、大豆、植物油、石炭、鉄鉱石、木材等々、生活必需品やインフラに関わる材料など価格が安定してもらわないと困るような商品の備蓄倉庫やそれを管理する商会の施設、あとは富裕層やその家族やなんかが通う教育施設があり、一般人には縁のない区域になります。
政治に関わる貴族、官僚、大店の会頭さんクラスの人やその家族なんかがいるところですね。
時間はかかりましたがとうとう入場。
関所を通りやっと交易都市コルネンに到着した。
体はそうでもないが初めての遠出で気疲れした感じ。
あの村で3日も足止めされたもんな。
お昼は過ぎたがまだ昼食をとってない。
カイエンさんと一緒に一番最初に見つけた食堂に入り食事をとる。
「で、これからどうするんだ?」
ええ、一度叔父さんのお店に挨拶してきます。
今日は宿に泊まって明日改めて伺った方がいいでしょう。
3日遅れた事で向こうの段取りも狂ってしまったでしょうし、少し時間が必要でしょう。
「お前、本当に18か?成人したとはいえよくそこまで気が利くな」
逆の立場で考えればそんな難しいもんじゃないですよ。
とりあえず遅れた理由と、こうして無事に到着した旨をまず知らせないと。
心配したでしょうからそのお詫びもかねて。
そうこう話していると注文したパンとシチューが運ばれてきます。
カイエンさんはワインも頼んでいます。
この世界でのワインは酒精がとても低く水代わりに飲む人が大半。
ですからこれから馬車で商会に帰るにしても咎める人はいません。
しかし、このシチュー。
不味くはないんですがなんか一味足りない。
パンは美味いんだけど。
俺の調理スキルが火を噴く予感がする。
食事の後、カイエンさんに馬車で先導してもらい叔父さんの店まで送ってもらった。
もちろん俺は徒歩です。
「そんじゃ、またな」
カイエンさんとの別れの挨拶はあっけないものだった。
すぐに会えるからね。
店の前にて
『コンコン、コンコン』
・・・返事が有りません。
『コンコン、コンコン』
・・・留守でしょうか?いや、窓からは男性が店のカウンターにいるのが見えるから気付いていないだけか。
『コンコン、コンコン、コンコン、コンコン』
『ガチャ!』
「ノックなんかしないで入って来いよ!・・・ってデッケえな!!」
あっ、こんにちわ、やっと到着しましたレビン、ラーシャの息子のクルトンです。
この人が叔父さんのアイザックさんかな。
「おおう、初めましてだなアイザックだ。まずは店に入れ、入口で突っ立てて邪魔だ」
すみません、すみません、失礼します。
カウンターに置いてある椅子に促され、アイザックさんが家族を呼びに行きました。
ガタガタ音がしたかと思うと早歩きの足音が複数近づいてくる。
・・・5人だね。
ドアを開けっぱなしにしたそこから男性3人、女性2人がやってくる。
そしてその中の女性(俺のお祖母さん?)が、いの一番に飛び出し俺に抱き着いてきた。
小さい人で俺の腹に顔を埋める感じになってしまう。
「ああ、あなたがクルトンね、会いたかったわ。本当に、本当に大きいのね」
ええ、両親の愛情の賜物です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます