本当の目的とルード

目的は氷柱。

でも、氷柱を見て帰り際にすれ違う女性の声と視線でルードは気がついていた。

本当の目的はこっち。

一目で分かる。

(たぶんあの山。あの山だ。)

ルードは、とりわけ目立つ山を目にしてから。看板地図で、山の名前を目にしてから。

意識が、山に行っていた。

(氷柱に行ったら分かる。)

そう思って辿り着いた場所で、やっぱり見えたのだ。

「私を呼んでいたのは君だね。。。」

ルードは、つぶやいた。

きっと、山の見える方向に向かえば、辿り着けるはず。。。着けなかったら、違うということだ。

目に映る山をめがけて、車を山の奥へ奥へとひた走る。目的以外の山をすり抜けて、奥へ奥へ。内心、ルードは、たどり着けないことを望んでいた。目に映る山にたどり着けないことを、望んでいた。なのに、どんどん山は近付いていく。

「やっぱり。。。」「やっぱり。。」

山の麓に付き、もっともっと近付けないかと、キョロキョロし、それっぽい道を見つけ、更に推し進む。

ルードは気が付いたら山に話し掛けていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る