私達の依り所
びたーすてら
馴れ初め
凛はいつも寂しさに駆られていた。それは何故だかわからない。
どん底と言ってもいい。いつこの世から消えても構わないとすら思っていた。
それを救ったのが楓だった。
ある日の放課後、空気に溶けるように教室の隅で抜け殻の様にしていた凛。それを見た楓は凛の元に向かった。まるで吸い寄せられるように。
「……何か用ですか」
凛は明らかに警戒した雰囲気を出して言った。
その雰囲気に物怖じしない風の楓は、
「キミ、いつも寂しそうにしてるね」
まるで毎日観察してたかのように言う。
それに対して凜は、
「いきなりですね。私の何がわかるんですか」
「わかるよ。私はキミみたいな子を見ると心が痛むんだ」
…そんな憐みなんか聞きたくない。早く会話を終わらせたかった凛は「そうですか」と言い、そっぽを向いた。だが、会話は続いた。
「ねぇ、私、もっとキミの事を知りたいな。」
「は?」
キョトンとした凛を見てにっこりと笑う楓。
「ほら、そんな表情出来る、キミはもっと色んな表情が出来るはずなんだ。そのお手伝いがしたい。…ダメかな?」
ここまで自分の事を考えて言ってくれた人は初めてかもしれない。この人なら…と凜は思った。
「わ、わかりました…。…よろしく…」
「うん、よろしく♪」
こうして二人の関係は始まった。
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