第5章 羽休め
第67話 クズ
「あ、あの~アラアラさん。もう少し離れてくれませんか?」
あの後、強い痛みと流れる血に、遂にこれは夢ではないと理解したアラアラ。
しかし時既に遅く。卑劣なる俺に蹂躙されてしまったのであった!
そして遂に……遂に念願のボインボインおっぱいを手に入れたぞぉーっ!!!
敢えて誰かはボカすが、貧、貧、一応オマケに貧だったからなぁ!
エルフさん達も良く言えばスレンダー、悪く言えば……貧、だったからなぁ……。
何かの呪いを受けてんじゃなかろうか。
さて、アラアラと結ばれたわけだが、彼女は絶賛お怒り中である。
「やっ! アレクちゃまがお姉さんにいじわるするのがいけないんだよ~! めっ!」
やっぱり怒ってない……いや、これでも怒ってる、のか?
わからん。わからんけども、確かなことは1つ。
背中に当たるおっぱい、さいっこーっ!!!
「もぅ~! お姉さん本当に怒ってるんだよ~! アレクちゃまの嘘つき~!」
「ごめんごめん! アラアラ、愛してるよ」
そう言えば、どっかのチャラ男と約束してたなーと思いつつ。
「ふわぁっ……反省、してりゅ?」
「してるしてる」
「もうお姉しゃんに嘘ちゅかない~?」
「付かない付かない!」
「ぜ~ったいらよ! またうしょちゅいたらおねえしゃんおこりゅんらからぁ~っ! ちゅ~っ!」
ちゅっちゅっちゅちゅっちゅっちゅっちゅちゅっちゅ~。
ちゅっちゅっちゅちゅっちゅ~ちゅちゅちゅちゅ~。
……はっ!? やばいっ! アラアラを舐めていた! いや今舐められているのは俺だけど!
そうじゃなくって! アラアラは……どこまでも甘やかすし、どこまでも甘えてくる……これは……抜け出せ……な……。
◆◇◆◇
「さて、3日後である」
ヤバい。マジでヤバイ。
一応、途中でセイスにメイちゃんたちへと連絡するように頼んでいたが……さすがにまずい。
「アレクちゃま、どうしたの~?」
この3日間、ほぼくっついていたアラアラが声をかけてくる。
まさかここで聖奴隷が役に立つとは、いや失礼。食事等の世話をして貰えるとは。
「うむ。よく考えたら俺、お姫様と婚約した2日後から3日間も行方知れずだったわ」
「わぁ~……それは……まずいねぇ~……」
義兄と、幸せにすると約束した次の日。忽然と姿を消した夫候補。
うん、間違いなくヤバい!
別の女性と共にいたと知られたら、極刑ものだ。俺ならそうする。
「セイスさんセイスさん、応答願います」
「……如何されました? ろくでなしの我が主よ」
うむ、セイスは相変わらず優秀だ。言わずとも状況をほぼ理解しているのであろう!
「……非常に、非常に困ったことになった」
「はぁ……私も男です。女性に溺れる気持ち、わからなくもありません」
えっ!? マジで? あのセイスさんもっすか!?
「ですが、他の愛する人を傷つけるのは良くありませんよ」
「はい、肝に銘じます」
うん、今回は本当に反省しなければ……アンジェにもきちんと向き合おう。
「ふぅ……今回だけですよ? アレク様は新たな家族のために数日かけて、婚姻の儀に贈るにふさわしい魔道具を調達しに行っている。そういう事です」
「……お主が神か」
どこまで理解してどこまで予想してるんだ本当に。
「奇妙なお誉めの言葉、ありがとうございます。こんなことでもお役に立てて嬉しいです」
「……すまない、俺にできることは何でもする」
敵に回すと怖ろしい男セイス! そうならないためには何でもするぜぇ!
「……私は別に。ただ……クワトが知ったら泣きますよ?」
「ゴブゥッ!」
知らなかった、言葉のナイフで吐血できるなんて……。
セイスとの通信を切り、急いで準備する。
「アラアラすまない、俺は――」
「ぁ……い、いってらっしゃ~い」
長年の想い、それが実ったのも束の間。やはり彼には帰るべき場所がある。
そんな顔をしている。
「……今日この後、改めてメイたちに紹介するから、身だしなみを整えておくんだぞ! ちょっと行ってくる!」
「――っ! いってらっしゃ~いっ!」
そして俺は飛んだ。『高速飛行』で飛びながら、ちょうどいい素材(魔物)を探しながら、かつて作っていた魔力塊を核に魔法付与を施しながら……。
とにかく、俺は飛んだ。飛びまくった。手頃なドラゴンを見つけた時は飛び跳ねたね。既に飛んでたけど。
そのドラゴンが突然喋りだし、命乞いを始めたから全身切り刻んだ後回復してやった。泣いて喜んでいた。
かくして俺は手に入れたのである! 結納と謝罪の品を!
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