【読書日記】「異常[アノマリー]」「優しい死神の飼い方」「歪曲済アイラービュ」
あけましておめでとうございます。
年末年始は最強の9連休ということで読書まみれだ!と意気込んでいたのですが、普通に体調を崩しまして、年末死んでました。
その分、年始からリベンジ読書ということでここ最近は結構読書ペースが上がり気味です。
エルヴェ・ル・テリエ「異常【アノマリー】 」
“あらすじ検索禁止”という興味を惹かれる帯文に、やたらと目立つ真っ赤な表紙。前から気になっていたフランス産の小説。
1章はよくある群像劇で、ここからどうなるんだ?と読み続けると、1章のラストで急展開。2章からは予想不可能なSFが突然始まる。
SFらしい科学描写もあれば、古典からの引用がバンバン出てくる海外純文学特有の文章、さらに切ない恋愛小説も混ざっていたりとまさしくジャンルレスな作品。
“あらすじ検索禁止”というくらいだから、ギミック系の小説かと思っていたら、むしろ哲学的な問いを与えられる文学作品寄りな雰囲気だと感じた。
“格式高い文学賞を受賞しながらもベストセラーになった”というあとがきの記述が本作の特徴をよく表している。
とはいえ、内容を話してしまうとネタバレになってしまうので哲学的な問いの正体はあえて話さないことにします。
海外の純文学的な雰囲気に興味があるけど文芸に振り切るのは怖いという人におすすめの一冊です!
知念実希人「優しい死神の飼い方」
ベストセラー量産作家である知念実希人さんですが、意外と作品を読んでいなかった。
本作も例に漏れずベストセラーのシリーズもの第一作。
犬の姿にされた死神が緩和ケア病棟で人々の未練を解消していくお話。
すごくキャッチーな設定な上、連作短編形式のお手本のような展開で、これぞエンタメ作品!という読み心地でした。
各話で主要人物たちの謎を解決しつつ、作品全体を貫く大きな謎をほのめかしていく。終盤には、これまでの大きな謎や伏線を回収して、ラスボスの登場。主人公陣営の危険度が急上昇して、ラストはラスボスとの対峙。エピローグとして、作品の後日談と含蓄のあるメッセージ。
なるほど、物語ってはこうやって作るのか。
緩和ケア病棟で死と向き合うというテーマはかなりシリアスなものだけど、主人公の語り口のおかげでコミカルになっていて、終始ものすごく読みやすい。
“死を遠ざけた結果、自分が死ぬことを忘れてしまった”というメッセージは胸に刻みたい。
全ての人が読んで後悔しない一冊です!
住野よる「歪曲済アイラービュ」
住野よる作品は「君の膵臓をたべたい」が有名だけど、個人的には「麦本三歩の好きなもの」の方が好き。
他人には見えない謎の物体が自分だけに世界の滅亡を伝え始めた。そんな人々が世界の滅亡を前提に様々な行動を…… というストーリー。
「世界が滅びるなんて最高だ!」という帯文の通り、衝動的な独白が作品の大半を占める意欲作。
中々、物語を咀嚼して上手く感想を言語化するのが難しい。
人間、人生のどこかしらで世界なんて滅びてしまえばいいのにという衝動に襲われることは必ずあると思う。そんな最中にいる人が読めばまた印象は変わってくるのかも。
世界滅亡前夜系の作品って、自分の終わりを悟った人が自暴自棄になって凶行に走る展開が多いイメージだけど、本作はそれとも少し違う。
確かに、作中に登場する人たちはある意味凶行に走りまくっている。人間の嫌なところも存分に描かれている。
なのに、最終的には若干の愛らしさみたいなものを感じる。
この奇妙な読後感は作品のオチにも関係するんだけど、生の感情をさらけ出す文章を浴び続けて、泥酔状態みたくなった状態で突然冷静にさせられる。
この落差がサウナのようで、不思議な読書体験につながっている。
この小説をちゃんと解剖して咀嚼しきれる人っているのかな? それくらい、何か真理が隠されている気がするし、ただ単に衝動と勢いにまかせて書かれた小説な気もする。
普通ではない小説を読みたい人におすすめの一冊です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます