私のロシア日記

第３話

　ロシア人は冷たい人が多い。そんな意識を持っている人が多いと思う。実際に私の周りにはロシアに対して、少し怖いイメージをもっている人もたくさんいた。けれど、私が住んでいる間、内面が冷たくて怖い人は見なかった。

　電車に乗れば、当たり前のように若い人が子供や老人に席を譲る光景を何度も見たし、挨拶をすれば笑顔で返してくれる。ロシアってすごいな。と素直に思った。

　8月の後半に入り、学校が始まった。

　日本だと9月から始まるのが一般的だが、ロシアでは冬休みが長い分夏休みが短い。なので、短い間に少しでもロシアを探検しようということになった。

　初めて地下鉄に乗った。

　駅は、日本の地下鉄とは全く違い、芸術品がたくさん飾られていた。壁だけでなく天井にも工夫を凝らしてあり、どこを見ればいいのか分からなくなりそうだ。

　地下鉄に乗り、しばらくすると、私の妹を見たロシア人がスッと立って席を譲ってくれた。日本ではあまり積極的に席を譲るという光景を見ないから、心底驚いた。

　その後、何度か地下鉄に乗ることがあったけれど、その内十分の七は席を譲ってくれた。

　日本でもこのような光景を見られるようになるのは、いつになるだろうか。