社畜、オークションを見る
イノゲニクを倒した後は大したモンスターは現れず、視聴者と雑談しながら出てきたゴブリンを二十体ほど倒したお所で配信は終わった。
「じゃあ、今回はこれくらいで終わりかな」
〝おk〟
〝わかった〟
〝じゃーな〟
〝つぎはどうするの?〟
〝バイバイ〟
〝じゃ、また〟
〝次でまた会おう〟
次……か
何しようかな
もうさすがにゴブリンじゃ見ごたえないと思うし。
よし、次は中層くらいを攻略するか。
ダンジョンの構造は大きく三つにわかれている。
上層、中層、深層だ。
上層はそのダンジョンで弱いモンスターしか出てこなく、SS級ダンジョンでも三十くらいのレベルがあったらまだ攻略できるといわれている。
でもだからと言ってC級などのダンジョンと比べたらやはり強く、あくまで目安であって入ろうとする人は少ない。
中層は、ダンジョン全体の魔物の中で強くもなく、弱くもない中間レベルのモンスターが出てくる。
レベリングをするのだったらこの階層が一番良いとせれている。
事実、ダンジョン協会が行った、「ダンジョン内のどこに探究者がいるのか」という調査では一番中層が多く、その主な理由がレベリングだった。
そして最後は深層。超簡単に表すと超絶危険地帯。
最低でもレベルが80は超えていないと話にならない。
ここに入れるのは、自身のレベルよりも10レベルくらい低い推奨レベルのダンジョンか、馬鹿かレベル90台の世界に50人くらいしかいないといわれている猛者だけだ。
まぁ、いくら何でもSS級の深層にレベル90を超えているからって行くほどの勇気は俺にはない。
いや?
行ってみたいよ?
でもさすがにいきなりはいけない。
それに順序ってものもあるからな
急に深層なんて場所にいったら驚くだろうからな。
うん、だからいかないんだ。
そう思おう。
俺がそう思いながらダンジョンの入り口についたとき、
「あ、オークション」
おおっと
危ない危ない
せっかく受けつてのスタッフの人に教えてもらったのに行かないところだった。
てかそういえばスタッフの人の名前聞いてなかったな。
いつも魔結晶を換金してもらってるのに。
今度聞いておこう。
と、こんなことをしていたらまた忘れそうだ。
早く会場に入っておこう。
「あの、すみませんオークションの会場ってどこからいけますか?」
「会場ですか? それだったらここからいけますよ。この番号の席にお座りください」
看板の近くに立っていた警備員らしき人に聞くと札を渡されながらそう教えてくれた。
「その札は、出口にある袋に入れておいてください」
「はい、ありがとうございました」
コンクールのような会場に入るとそこにはすでにたくさんの人がいた。
やっぱりたくさんの人が来るんだなぁと思いながら指定された席に座ると会場が暗くなった。
そうしてしばらくすると舞台の方にライトが当てられ、司会の人が姿を現した。
「どうも皆さんこんにちは、私は司会を務めさせていただく山下です。自己紹介はさっさと終わらせて本題に入りましょう。それでは、第二十九回ダンジョンオークションを開催します!」
司会のそう宣言した瞬間、会場が盛り上がる。
「それでは、さっそく、第一の商品は……こちらです! 『アタックカウンター』」
うっわ、すごいなこの人たち。
さっきまで盛り上がってたのに急に獲物を狙う目になったぞ。
まぁ、それだけこのオークションにかけてるんだな。
「なんと、この武器はネックレス型の魔導武具アーティファクトであり、魔力を充填すると5回まで物理攻撃を自動でカウンターしてくれる優れもの! まずは、500万からスタートです!」
「ごっ……」
おいおいおい、いきなり五百万かよ。
いやまあ、強いけどな。
でもどうなんだろう。
自動でってことは自分で対応できる攻撃まで勝手にカウンターしちゃうんじゃないか?
たったらそこまでいらないかも。
まぁ、そもそも今手元にあるのさっき換金した300万だけだし。
一応4000万もあるけどここで使いたくはないしな。
俺がそんなことを考えている間にもどんどんと値段が上がっていく。
「500万!」
「600万!」
「900万!」
「1200万!」
「おおっと、1200万、1200万が出ました! これ以上の方は……はい! ここで〆切です! 『アタックカウンター』は1200万で落札です!」
なるほど、なるほど。
オークションはこんな感じなのか。
その後もだんだんと商品が出てきては高額で落札されていく。
B級クラスのモンスターなら1発で絶命するくらい超攻撃力の高い『魔法弾丸マジックバレット』 ¥5000万
あらゆるモンスターの場所を記す万能地図『ダンジョンマップ』 ¥1億2000万
モンスター避けの香り袋『モンスター除け袋』 ¥6000万
「そしてこのオークション1番の目玉がこちら! ダンジョンのどこからでも入り口にワープすることができる『転移結晶』! こちらは1億円からスタートです!」
はぁ!?
そんなのダンジョンのどこからでも逃げられるようなもんじゃねえか!
強すぎる。
そりゃあ、一番にもなるはずだ。
「1億!」
「1億5000万!」
「2億5000万!」
「な、なんと2億5000万! これ以上の方はいらっしゃいますか?」
もう誰も無理だと、札を出した人は勝ちだと思った時、その声は聞こえた。
「3億」
ウッソだろお前!
マジかよ!
なんと俺の隣に座っている女の人が三億を出したのだ。
「さ、三億! これで落札です! 『転移結晶』は3億円で落札です!」
嘘だろ、と俺が思っているとその隣の人がこちらを向いて
「どうもこんにちは、ソロダンジョンランキング8位なストさん? 私はソロダンジョンランキング9位のプレストと申します。以後、お見知り置きを」
そう言って出口の方へ去っていった。
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