社畜、2段階攻撃を披露する
「あぁー、ここも久しぶりだな」
っていうかそもそもダンジョンに最近潜ってなかったもんな。
俺はダンジョンに来た瞬間、そう言った。
うゎぁ、やっべー!
超久しぶりだわここ。
いやまぁ別に1ヶ月とか通ってないわけじゃなくて数日なんだけど内容が濃すぎてスッゲェ久しぶりに感じるわ。
「あ! すみません、少し宜しいですか!」
俺が早速ダンジョンに潜ろうとした時、受付の人に声をかけられた。
あれ?
俺なんかやったっけ?
特に問題は起こしてないはずなんだが……
俺がそうやってビクビクしていたが、どうやらそういうことではないようだ。
「すみません、お呼びしてしまい。この前の残り4000万円の振り込みをしたいのでどうか〝ダンジョンガイド〟アプリを起動していただけないでしょうか」
4000万?
……そんな大金いったいなんで……って、そうか!
「あぁ、確か分割して支払うって言ってましたね。すみません。用事があって来られなくて」
「あ、いえ大丈夫です。そういう方は結構いらっしゃいますので。……はい、これで振り込まれました。念のため確認をお願いします」
何やら端末を操作していた受付のスタッフが顔を上げるとアプリの通知で振り込まれたと報告があった。
中身を見てみたらしっかりと振り込まれていた。
「はい、大丈夫です。しっかりと振り込まれてます」
「そうですか、ありがとうございました。それでは楽しい探究者ライフを!」
そうして俺は再びダンジョンに向かおうとした……が、その前に立ち止まり受付のスタッフに質問した。
ふと目が入ったところに気になるものがあったからだ。
「あの、アレは一体なんですか?」
「あれ?」
受付のスタッフは初めは困惑していたが俺が場所を指差したところを見ると納得顔で説明をしてくれた。
「あの看板はオークションの案内ですよ」
「オークションってあの?」
オークション、それは品物の値段を競い合って落とすものだ。
主に数年に一回出るかどうか……くらいの希少物がオークションにかけられている。
オークションと聞くとなんか闇があるようなそんなイメージがあるが、そんなことはなく今ではダンジョン支部でもオークションが開かれてる。
「……と、このようなものが今日行われるのです。そうだ! 今回は希少なものだけでなく未知のものも出品していらっしゃるようなのでぜひ言ってはどうですか?」
オークションか……
確かに面白そうだ。
でもどうだかな〜?
オークションってことはすんごい金がかかるだろうし。
でもやっぱりオークションってなんか惹かれるよな。
「それって買わなくても見るだけでもいいんですか?」
「はい、それは大丈夫です」
おぉ!
そうなのか。
だったら見るだけでもいいかもな。
今度やるかもしれない時に役に立つかもしれないからな。
普通に気になるし。
「どうやったらいけるんだ?」
「5時になったらそこの扉から入れますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
そうして今度こそ本当に俺はダンジョンに向かった。
ドローンよし。
スマホでの事前告知ヨシ。
それじゃあ……
「配信スタート!」
〝よっしゃあ!〟
〝きたぁー〟
〝楽しみすぎる!〟
〝久しぶり〟
〝新技はどうだ?〟
〝↑それな!〟
〝初見です!〟
俺が配信を始めた瞬間、凄まじい力のコメントが流れ込んでくる。
「おい、ということで久しぶりの配信だ。まぁ、そこまでいうほどじゃないか」
〝確かに〟
〝でも体感久しぶり〟
〝シロはもう配信してるぞ〟
〝↑そうなの?〟
〝↑そう〟
え?
もうシロって配信してるの?
だったらもう心配する必要がないな。
俺はそれを聞いて安心し、そのまま話を始めた。
「あっ、そうそう。ギルドの件だがそろそろ事務所とかを建てたいと思ってな。今度相談するということで」
〝はい、わかりました。DMダイレクトメッセージ送っときます〟
「おう、頼む。それともう一つ。魔力の二段攻撃、少しできるようになったぞ」
〝え!〟
〝まじ!?〟
〝早くね?〟
〝すげぇ!〟
〝す ご す ぎ〟
〝認めてやるよ、お前は天才だ……〟
〝何それ〟
〝↑前回の配信を見てくれ〟
〝おけ〟
「と、来たな」
コメントと会話しながらダンジョンを歩いていると早速エンカウントした。
「キギャギャ!」
「ふむ、ゴブリンか……いや? 違うな」
一見ゴブリンに見えたが、スキルによる視野からだと全く違っていた。
一面真っ赤。
ゴブリンならとても薄いものだ。
と、いうことはだ。
「こんな時に便利なダンジョンガイドアプリ」
俺はスマホからアプリを開き、カメラをかざす。
すると、敵の情報が出てきた。
「わーお」
______
種族 イノゲニク
レベル 52
カテゴリ 変身系 不個体
スキル 身体変身
討伐推奨 レベル50代、複数人
______
そんでスキルは?
______
スキル名 身体変身
効果 己が知る限り一番強い姿に変身す
る。威圧などは再現できるが身体能
力やスキルは再現できない。
______
「あー、なんだパチモンかよ」
〝何かあったの?〟
〝多分イノゲニクじゃない?〟
〝何それ〟
〝面識者説明求む!〟
〝イノゲニク 本来は体がぐにゃぐにゃしてるキモいモンスター。スキルでイノゲニクが知っている一番強い姿に変身する。でもスキルや身体能力は再現できない。威圧だけは再現できるからそれで敵を気絶させてレベルを上げてる〟
〝長文ご苦労だった〟
〝↑謎の上から目線w〟
〝うむ、くるしゅうない〟
おう、まさかの面識者がいるらしい。
うーん、せっかくこういうやつだって説明したかったんだがなぁ。
ま、もう遅いしいっか。
それで再現できるのは威圧だけか。
だったらそこまで警戒しなくても大丈夫だろ。
何せレベル90と50の戦いだからな。
そうだ、せっかくだしな。
「せっかくだし、こいつを二段界攻撃で倒すよ」
〝お! ついにお披露目か!〟
〝いったいどうな感じなのか〟
〝全世界が期待しています(結構ガチ)〟
〝↑まぁ、海外勢結構いるからな〟
〝やぁ、二段回攻撃ってなんだい?(英語)〟
〝↑早速出てきたしw〟
「よっしゃ、そんじゃあいきますか!」
そうして俺はイノゲニクに突進。
イノゲニクは咆哮してきたが俺には効かない。
そりゃあそうだろう。
何せ俺は以前にレベル90の異常個体イレギュラーと戦っているからな。
俺に効かないとわかったイノゲニクは逃げようとするがそこを逃すほど俺はやわじゃない。
「お披露目のサンドバッグになってくれ」
「ぐギャァ」
俺のグーパンが我ながら見事にヒット!
そうして1秒後
「グギャァァァア!!!!」
再び衝撃が走り、イノゲニクは塵と化した。
「これが俺の二段界攻撃だ」
〝うぉぉお!〟
〝まじで二回あったぞ!〟
〝これが天才×天才か〟
〝凄すぎる!〟
〝おーう、ファンタスティック!(英語)〟
〝こ れ は や ば い〟
〝スゲェ〟
〝凄すぎて言葉が出ん〟
〝同じく〟
俺はそんなコメントの反応を見て満足げに頷いた。
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