第29話:赤身魚のアラは酢で下処理!

 スーパーで見かけるとつい買ってしまうものに「魚のあら」がある。主にカツオやマグロ類などの赤身魚が多い。コスパ良好なので人気商品らしくなかなか見かけないのだが、そんなにしょっちゅう食べるようなものではないので、適度な頻度で手に入るのがちょうどいい。


 赤身魚のあらは、大部分が「血合い」である。見た目は刺し身のようで美味そうだが、普通に焼いたり煮たりすると非常に血なまぐさいことが多い。そのため、しっかりと下処理をする必要がある。


 大事なのは「酢」である。あらを、必要なら血を洗い流してキッチンタオルで拭き取ってから、全体に酢をまぶす(トレイやバットがあるとよい)。だいたい500グラムに対してお玉1杯くらいの酢が目安だろうか。酢は普通の穀物酢などで構わないが、もしピクルスの漬け汁などが余っていたりすれば有効活用できる。後で洗い流すので風味が残ることはない。


 5分漬け込んだら、ひっくり返してまた5分。計10分漬け込んだら酢ごと鍋に入れ、ひたひたの水を注いで火にかける。沸騰したらすぐに火を止めて(茹ですぎると油が抜けてパサパサになるので注意)ザルに上げ、流水で軽く洗ったら下処理は完了。この状態で冷凍しておくこともできる。


 血合いの下処理について調べると流水を使うやり方が多くヒットする(洗いすぎると風味もなくなるので個人的にはあまり良くないと思う)が、酢を使うというやりかたについては、調べてもあまり出てこないのが意外だった。理屈としては、生臭さの原因であるトリメチルアミンを酸で中和するという化学的な発想らしい。ともかく酢を使うことで血合いの生臭さは大幅に軽減される。


 その後は本煮込みに入る。私の場合は醤油とみりんを同量ずつくらい入れ、物足りなければ砂糖を少々。煮詰まるので、少し薄めくらいに加減しておくのがコツだ。可能であれば水ではなく酒を使う。そして長ネギ(青いとこ)やショウガといった薬味をたっぷり入れて、落し蓋をして20分ほど弱火でじっくり煮込む。すぐに食べるよりはそのまま1時間ほど置いて、再加熱するとより味が染みる。


 和風の煮魚もいいが、アクアパッツァ風に仕立てるのもありだ。フライパンにオリーブオイルを引いてスライスしたにんにくと唐辛子(好みで)を低温で熱し、下処理したアラを入れて両面に軽く焼き色を付ける。トマトなどの野菜を入れ、軽く塩(魚200グラムに対して塩1グラム程度だろうか)胡椒と白ワイン(無ければ日本酒でも)を振って、蓋をして10分ほど蒸し煮にする。仕上げにレモン汁やワインビネガーをかけたり、バジルやパセリを散らすのもよい。


 醤油煮込みと比べると、塩煮のアクアパッツァは骨が可視化されやすくて食べやすい。酒も進む。パスタを入れてもいいのだが小骨が多いので注意が必要だ。


 なお下処理のテクニックについては、今回の記事を書くにあたってAIと相談した。自己流でやっていたときは少し煮立てるくらいにしていたのだが、あくまで低温で処理するのがポイントのようだ。今後もいろいろな情報を参考にしつつアップデートしていきたいものである。

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