第7話 落ち着いたので話し合い
「ふむ……『ガルム』『フレスベルク』『ニーズホッグ』も情報と対価次第では退治してくれるとの……」
エルマーの母親が魔王だったらしい。魔王ヘルナレア・カツルトス。妹はユリアリアちゃんと言って、まだ母親に甘えたい盛りの小さな子供だった。
俺達はフェンリルを見張り台の所で『待て』をさせてから、粗末な木造の家に案内されて話を聞いていた。全体的に魔族は貧しい暮らしをしているらしい。
拠点の東西南北の全部に怪物のような魔獣が棲み着いて毎年生贄を求められていたら、そうなるよなあ……。
「問おう。対価に何を求めるのじゃ」
「だから、屋根のある所で衣食住を保証してくれれば良いですってば」
「ええ。お風呂にも時々入れるのなら最高ですけれども」
ガブリエルが軽く冗談を言ったが、ヘルナレアさんは俯いて首を横に振った。
「北の……デューバル温泉郷に邪龍『ニーズホッグ』が棲み着いて猛毒を垂れ流しておる。我らでさえ近づくことすらままならぬのじゃ。温泉の源とヤツの吐き出す毒が完全に混ざり合ってな……湯気からも猛毒が漂っておる」
混ざり合う、と口に出してから考え込んだガブリエルが何かを閃いた。
「『分別』できませんか?」
「毒と温泉の水や湯気を?」
「ええ。私の『分別』で。……『分析』ではないので別ける対象が何かをあらかじめ突き止めている必要がありますけれど、この場合は温泉の水と毒だと分かっていますから」
更に言うなら、温度の高い方に温泉の水を分けて、低い方に毒を別けることも出来るそうだ。
「それでも短期決戦になりますね。せめて解毒の薬が1つでもあれば……」
安全に俺もニーズホッグを洗脳できるかも知れない。
「だったら僕達でも作れるよ!」
エルマーが自信たっぷりに言い出した。ユリアリアちゃんも賛同するように小さな両手を上げる。
「ブロワン大魔森を自由に歩けるようになったから、あそこの薬草を調合できるもん!」
それから三日かけて俺達はニーズホッグ退治の仕込みを行い、フェンリルを盾にガブリエルが毒を分別した瞬間に、解毒薬を服用した俺が『時間停止』で突っ込んで巨大な毒邪龍のニーズホッグを『洗脳』&『淫紋支配』したのだった。
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