【完結】どすけべなスキルしか持っていないからって追放されました。――完全童貞ですが、真面目に生きていればきっと良いことありますよね?――
第1話 卒業パーティで追放宣言される俺、そしてあまりにも不憫な令嬢
【完結】どすけべなスキルしか持っていないからって追放されました。――完全童貞ですが、真面目に生きていればきっと良いことありますよね?――
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第1話 卒業パーティで追放宣言される俺、そしてあまりにも不憫な令嬢
「アルセーヌ・ダヴー!邪淫の徒である貴方とはこれ以上婚約関係を続けることはできませんわ!この場にて婚約を破棄させていただきます!これは我らがアングラール公爵家の意向でもあります!」
アデライト・アングラール公爵令嬢は王太子コンスタンと寄り添いながら、華々しい卒業パーティの衆目と主役をそうやってかっ攫っていった。
俺は一昨日から眠れていなかったのと、この婚約破棄はよーく分かっていたことだったから、大人しく黙って頷いた。
「邪淫の徒だと分かった以上、貴様は神聖にして偉大なる我らがアザレナ王国に置いておくことは出来ん!
――王太子として貴様に魔境ゴドノワへの追放処分を下す!」
これも分かりきっていたことだ。
俺は納得済みだったが、たった一つだけ聞きたいことがあった。
「全て承知いたしました。ですが……王太子殿下には婚約者としてケルテラルス侯爵令嬢がいらっしゃったのでは?」
明らかにアングラール公爵令嬢と王太子殿下の距離がおかしい。
まるで婚約者――いや、恋人同士のようだ。
まだ俺は良い。仕方ないと渋々でも納得できる。
でも、娘を蔑ろにされたケルテラルス侯爵家がこれには黙ってはいないだろうに。
「はん!あんな『分別』という下等なスキルしか所持していない出来損ないの女とどうして婚約を続けねばならないのだ!」
王太子殿下が鼻先で笑い飛ばした時、この卒業パーティの列席者の1人であるケルテラルス侯爵が前へと進み出た。
とても嫌な予感が、した。
「ケルテラルス侯爵家としても、口うるさい上に恥さらしの娘は早々に捨てるべきだと決定しましたので」
おい、酷すぎるぞ!?
ケルテラルス侯爵令嬢は、真面目に王太子殿下の婚約者として今まで務めていたし、些事に至るまで多方面からこのアザレナ王国を支えていた、って俺も聞いている。
……そりゃ、こんなボンクラ王太子や見栄っ張りのケルテラルス侯爵一族相手には少しくらい口うるさくもなるだろうさ。
でも俺は必死に堪えて黙っていた。これから追放されるのは確定しているし、今後について口出しできる立場じゃなかったから。
「出来れば、このアルセーヌと一緒に魔境へ捨てていただければとても助かるのです。どうでしょう、その代わりに愚息を王太子殿下のお側に……」
顔を真っ青にして震えているケルテラルス侯爵令嬢があまりにも不憫で、俺は思わず声を出していた。
ケルテラルス侯爵令嬢は俺みたいに卒業生として、この学生達の卒業を祝うパーティに来たんじゃない。
王太子の婚約者、つまり賓客として出席したのだ。
なのに、こんな酷い侮辱を加えた上に、今まで生還者のいない魔境ゴドノワへ追放するなんて明らかにふざけている!
「それはおかしいでしょう!?俺はまだ分かりますよ、でもケルテラルス侯爵令嬢は何の咎も犯していないじゃないですか!せめてケルテラルスの領地にある修道院で、」
「お黙りなさい。邪淫の徒の分際で無礼です」
「全くだ、恥というものを知らんのか」
クスクスと嗤いながら進み出てきたのは国王夫妻だった。
「また今年も出来損ないが喧しいこと。魔境ゴドノワでさっさと魔族の餌になれば良いのです」
「かの地は魔族の住み着く忌々しい魔境だが、こう言う時に役立つ。――おい!連れて行け!」
俺は兵士達に囲まれて手枷を付けられて、卒業パーティの場から引きずり出された。酷いことに俺の後ろではケルテラルス侯爵令嬢が同じ目に遭っている。
淑女に何やってんだ!と思わず怒鳴ったら、問答無用で殴られた。
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