《声劇台本》月光色の独白
和泉 ルイ
月光色の独白
「私ね、死んだら宝石になりたいの」
別れ際、君は手のひらを沈みゆく月に掲げながら小さく呟いた。潮風に揺れるワンピース姿の君はいつにも増して小さく見えた。
「おかしい?最期ぐらい本音を呟いたっていいでしょう?」
月に掲げた白い手が月光色に染る。君から目を離せば華奢なその身体が夜に溶け込んで見えなくなりそうだ。
「私ね、貴方といられて幸せだった。だから死んだら宝石になりたいの」と君は言う。
死なずとも君は宝石に勝る美しいひとだよ、と折れてしまいそうなほどか細い腕を引いて懐に納めてしまえば君は静かに目を閉じて体重を預けてくる。
「本当に、私には勿体ないくらい素敵なひとね」
「君も僕には勿体ないくらいの素晴らしいひとだよ、」
だけど、手放してはあげないからねと言えば君は僕の腕の中で嬉しそうに笑った。
《声劇台本》月光色の独白 和泉 ルイ @rui0401
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