第33話
今回、学園封鎖に参加した学校のリーダーは、インターネット上で集まり、情報交換をした。
互いに語り合う過程の中で今回の騒動を「改新」となずけた。
大化の改新からの借用である。
「新しきに改める」と言う精神を母体とする事を皆が暗黙のうちに了解した。
古の日本の政治改革を力をもって推し進めようというものである。
「改新」の下(もと)に集まり気勢を上げるのが「今まで」とすれば、これからは「群れることなく」一人一人がその精神に向かうのが「これから」である。
今回の高校生の活動は「何か」に向けての始まりに過ぎない。
これを機に、高校生は政治に高い意識に目覚める。
政治に関する勉強会はいたるところで開かれ、その中で、大人たちの利益第一主義はいたるところで弊害を撒き散らしていると不満を口に出した。
未来、将来を考えず今の利益を追求していると・・・
確かに、今までは社会を改革しようとする大人達の勢力は顔ぶればかりが立派で内実は伴わなかった。この実情に不安を抱く大人も大勢いるのだ。それは企業の労働者、一般庶民である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
6月も過ぎて、梅雨の気配も見え隠れする頃、
長野県の一工場で、ストライキが行われた。
賃金の値上げと、税金の無駄遣いの追求。食料自給率の向上。
ストライキも珍しいが、スローガンも変っている。
・・・・「税金の無駄遣いをなくせ」・・・・
・・・・・食料自給率の向上・・・
これは労働組合が要求するところとはかけ離れたものだった。
社員も今の状況では賃上げは難しいと感じているが今これをやらなければ共倒れになるとも感じていた。
ならば、税金の上昇だけは押さえなければならない。
税金の無駄遣いが、税金の値上がりつながっている、まずは議員の定数の半減。と労働者は感じているのだ。
このストライキは珍しい事として新聞テレビで大きく伝えられた。この時代ストライキは聞かない行動であった。とはいっても数十年前は鉄道、企業は頻繁にこれをやって居た。賃上げである。
これによって給料は上がり国は飛躍した。
今はどうか、言葉もない。企業経営者は自分の財布のように社内留保という貯蓄に奔走した。結果が先進国最低の賃金である。
話を戻そう
このストライキは会社に損害を与えない程度に実行された。
サラリーマンの中にも今のままでは、「改革は進まず、税金ばかりが上がる」事に不安を表す
者が増えていた。
だが働き手は声も上げずにじっとしていたのである。
新聞テレビの情報から見えないところで、
「政治家にばかりに任せていられない」、と考えるサラリーマンが増えつつあった。
しかしどこから、始めるのか?
初めが無ければ、事は進まない。
行動を起そうという若い労働者が社会の底辺でうごめいている
ただし革命の機運ではない。
日本、日本人にそれは似合わない。
新しきに改めようと言うのである。「有」を「無」にするのではなく「有」を更に高めて「更なる有」を実現しようとする機運である。
ツルギの言う「改新」の考え方である。
この考え方が世界に広まり人々の行動の基準になるとは知るよしもない。
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